ｰ常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ｰ

ムーンのひとりが新聞を開いて目を通しながら何気なく言った。

ムーン1「青少年の家出が増えてるそうだ。」

ムーン2「えっ?」

ムーン1「最近の若い子はこらえ性がないからちょっと怒られたり注意されると簡単に言えを飛び出して、ネットカフェなんかを泊まり歩くうちに犯罪に巻き込まれるケースが多いとか。」

ムーン3「問題だな。」

チコ「問題はさておき、最近の……といいますけど」

ムーン1「うん?」

チコ「自分のことを思い出してもわかるけど子供のうちは大人に反発したい時期が必ずありますよ。」

ムーン1「そういえばそうか最近の子に限らず大人のいう事ややることが理不尽に思えたことが」

ムーン2「われわれにもあったな」

ムーン3「正論を言ってるのに、子供のくせになまいきだと頭から押さえつけられたり」

「「あったあった」」

ムーン1「親と子の対立は永遠のテーマかもしれないな。」

ムーン2「僕も家出したことあるよ」

ムーン3「へえ、いつ?」

ムーン2「中学生の時さ母と喧嘩して家を飛び出したんだ」

チコ「家での期間は?」

ムーン2「その晩は友達の家に泊めてもらって……次の日に帰った」

ムーン1「そういうのって家出っていうのか?」

ミハイル「家出なら僕もしたことがある。」

「「「えぇっ!?」」」

チコ「殿下が家出!?」

ムーン1「初耳です!」

ミハイル「あたりまえだ。初めていったんだから別に自慢できることでもないし。」

チコ「いつごろです?」

ミハイル「3歳ぐらいかな細かいことは忘れたがなにか悪戯をやったんだ。」

「「「ふむふむ」」」

ミハイル「そしたら普段温厚な父上にひどく叱られてなショックを受けて家出したんだ。」

ムーン1「殿下の場合家出じゃなくて宮殿出ですね。」

ミハイル「言いにくいだろーが」

チコ「どれぐらい家出したんです?」

ミハイル「4時間」

ムーン1「だからそういうのは家出とは言わんのだ!」

ムーン2「ちょっと長い散歩じゃないか」

ムーン3「ガッカリだなせっかく面白いネタだと思ったのに。」

ミハイル「こらネタとは何だネタとは」

ムーン10「殿下仕事の話ですがよろしいでしょうか」

ミハイル「ひとの思い出をネタととらえるアホ達よりは仕事の話の方がマシだ。なんだ。」

チコ「言われてますけど」

ムーン1「だっふんだ。」