ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ムーン2「気持ち悪いーー!」

チコ「こんなもの舐められませんよ!」

ミハイル「舐めないと豚を連れてきてお前たちのへそを舐めさせるぞ!」

チコ「よく分からないけどすごく嫌!!」

ムーン2「や、やむをえない泣く子と殿下には勝てない。」

ムーン3「誰が舐める」

チコ「じ、ジャンケンで負けた人が…」

「「「ジャンケン、ポンッ!」」」

ムーン2:グー
ムーン3:チョキ
チコ:グー

ムーン3「あちゃーー!!」

「「ホッ」」

ムーン3「どうしてこんなことに…」

ミハイル「早く舐めろ!」

殿下に怒鳴られ謎の緑色の体液(?)が付着した棒をひと舐めした。

ムーン3「うわーー!うっうっうっ……」

ムーン2「大丈夫か!?」

チコ「すぐに消毒を!」

ムーン3「うまい!甘くておいしいぞなんだこりゃ!」

ミハイル「ゼリーだ。今朝ゼリーで足跡をこしらえたんだ」

チコ「イタズラー!?なぜそんなことを!」

ミハイル「ヒマつぶしになるし何よりお前たちをビックリさせられる。あー、楽しい。はっはっはっ。」

「「「で、殿下のやることは分からないー!」」」

それからというもの……

ムーン2「えーと、この書類は殿下の印が…」

書類をはた目に廊下を歩いて角を曲がったとところでなにか大きなものが立ちふさがった。見上げてみると大きな顔だけの怪物が大きく口を開いている。

あまりの衝撃に腰が抜けて悲鳴をあげる。ただ、その怪物は微動だにしない。

ムーン3「落ちつけ!舐めてみろ!きっとまたゼリーだ!」

恐るおそる指でつついて、舐めてみると……

ムーン2「ゼリーだ。」

ムーン3「やっぱりー!」

ムーン2「殿下はなぜこんなことをしてるんだ!」

ムーン3「わけがわからない!」


~~


ムーン「みんな聞いてくれ」

「「「なんだい」」」

ムーン1「殿下のイタズラには意味がない。そんな無意味なイタズラにいちいちおどろいて殿下を面白がらせるのは癪だと思わないか」

「「「というと?」」」

ムーン1「だから、どんな気味の悪いものが目の前にあってもそれはゼリーに決まってるんだ。」

チコ「そうですね。」

ムーン1「だったら驚く必要はない。無視すればいいんだ。われわれが無視を続ければ殿下も張り合いがなくなってイタズラをやめるんじゃないか」

ムーン2「なるほど言われてみればその通りだ。」

「「「よーし、何を見ても驚かないぞー!」」」
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