ー日常ー街の住人達【8】

ーアラファト家政婦派遣協会ー

マリア「さすがにスパイのこととなると語りますねぇ」

お熊「変なところで感心しないで現実的二対応する必要があるといいたいの。」

マリア「どう現実的に対応します?」

お熊「その家を探るのよ」

次の日、おマリはお熊がCIAから取り寄せた盗聴器をもって品川邸にむかいました。

家の中で人間が会話をすると、その音波によって窓ガラスが微妙に振動します。お熊が取り寄せた盗聴器はその振動を外からキャッチして増幅することにより、家の中の会話が聞こえてしまうというスグレものなのです。

マリア「ご主人様、実はきのう二階でたいへんな汚れを発見いたしまして。それを落とすのに何時間か二階にあがりっきりになると思いますので、よろしく」

品川「がんばって落としてね。」

二階にあがり窓から盗聴器を向かいの家へと向けた。どんなものかと耳を澄ませると確かに聞こえてくる。

マリア「咳払いと足音が聞こえる中にいるのはトカレフひとりか……おや?」

そのトカレフが昨日と同じように歩いてきている。そして何食わぬ様子で向かいの家の中へと入っていった。つまり今、中にいるのは別人ということになる。

盗聴器に会話が流れてきた。

トカレフ『よぉ』

『やぁ』

トカレフ『ライバー、呼び出された理由はわかってるんだろうな。』

マリア「うわー耳元でトカレフのだみ声を聞くのは変な気分。」

トカレフ『つけあがるな!ナンバー2のぶんざいでなぜ勝手な真似をする!お前は俺の指示に従ってれば、いいんだわかったか!』

『…わかったよトカレフ』

マリア「あれ、この渋い声はどこかで…」

トカレフ『まったく!昔だったらシベリア送りだぞ。』

会話の間にピキンピキンと変な機械音が聞こえてくる。

『トカレフなにをやってる。』

トカレフ『毎日の日課だ盗聴器の逆探知だ。』

『ここは安全なはずじゃなかったか』

トカレフ『念には念を入れるんだバカモノ!』

ピキンっと鳴っていた音がキンッキンッと波長を変えて鳴りだした。

マリア「まずい!」

トカレフ『あっ!?盗聴されてるぞ!あっちの方角だ!』

慌てて機械を止めようとしたが向かいの窓が開いて銃のようなものを構えた人影が見えてマリアは咄嗟に身をかがめた。

ドゥッという銃声と同時に窓が割れて破片が飛び散ってくる。

マリア「ひぇぇっ!」

身をかがめてどう逃げるか思案しているとまだつなげっぱなしだった盗聴器から声が聞こえてきた。

トカレフ『馬鹿!こんなところで拳銃なんか使うな!』

『やかましい!日本の公安かCIAだ!ナンバーワンが無能だからばれたんだ!』

トカレフ『ライバーなにをする!』

トカレフの叫び声を最後に三発の銃声が響いた。
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