ー日常ー街の住人達

ー小鳥遊邸:大広間ー

ゆえ「おとーさん、おとーさん……」

悠「んー、どうした?お父さん今、ゴクツブシ狸の皮を剥いで焼いてジョロギアを擦りこむ計画をたてるのら忙しいんだけど」

後楽「兄ちゃん、動物虐待って知ってるかい?」

悠「狸や狐も農家では駆除害獣って知ってるか?」

後楽「……」

悠「……」

後楽「DVってしってるかい?」

悠「真昼間から競馬新聞見ながら酒飲んでる野郎は家族ではありません。クズです」

後楽「……」

悠「……」

後楽「嬢ちゃん、どうしたんだ?なにか聞きたいことがあるんじゃないか?」

ゆえ「あ、うん、おとーさん、かべどんってなに……?」

悠「壁ドンって言うのはイチイチしているバカップルを見てやり場のない怒りを拳に乗せて壁にぶつけることだ。これが本当の意味の壁ドンだ」

ゆえ「なるほどー……」

後楽「いや、兄ちゃん。そこは夢のある方の壁ドンを教えてやろうぜ」

ゆえ「ゆめのある……?」

後楽「壁ドンって言うのはな、こうやって壁際に立って」
ドンッ!
ゆえ「……」

後楽「そしてそのまま唇を……」

三!歩!必!殺!

ドゴォォォォォォォォォォォォンッ!
後楽「がふぁっ?!」

悠「ミンチに……するぞ。クソ狸」

ゆえ「おとうさん、みんちっていうか、おじさんとゆかとかべがなくなってる……」

悠「…………これが壁ドンだ」

ゆえ「これがかべどん……!」

悠「そう。壁ドォォンだ!」

ゆうな「お父さん。お父さん」

悠「ん?なにかな?」

デンデェーン!
真桜「……」

ゆうな「真桜様が降りてきておられますです。はい」

悠「……」

真桜「……」

悠「か、壁ドンをですね……。」

真桜「真桜はこういう場合、泣けばいいのか?それとも何も見なかった事にして何も言わずに部屋に戻って寝ればいいのかなの?」

悠「むしろいっそ怒ってください!!」

ゆうな「なにがあったの?」

ゆえ「かべどんおしえてもらってた……」

ゆうな「ふぅん、ドキドキした?」

ゆえ「んーよくわかんない……」

ゆうな「そっか。」

悠「直します!すぐに壁も床も直しますから!」

真桜「別に気にしなくてもいいなの。真桜は何も見てないなの。」

悠「ごめんなさい、すいません!本当にそういうのが一番ダメージ来ちゃうんで!」

真桜「きっと真桜はまだ寝てるなの。起きたら真冬でかき氷食べるなの」

悠「違います!夏です!起きてますから!真桜さんしっかりしてください!ゆうなー!ゆえー!助けて!真桜様をちやほやしたげてくださいー!」

ゆうな「水風呂につければいい?」

ゆえ「はーげんだっつたべさせる……?」

悠「ダブルで!もう両方同時進行しちゃって!おれは取り急ぎ壁と床直すから!」

ゆうな「はいさ!」

ゆえ「ほしさ……!」

真桜「もう面倒なの部屋で寝るなのぶっぶっぶっぶっぶっ…」

悠「デコー!でこーーー!」

シュバッ!
楓子「はい、こちらにやよ!」

悠「倉庫から工具にブルーシートと木材持ってこい!最悪隣の空き家の壁切り取ってこい!」

楓子「はいですやよ!」
80/100ページ
スキ