ー日常ー街の住人達

ー食堂ー

悠「街の住人達っていってるのに学校枠から出ていかないってどうなんだろうな」

緋斗「なんの話ししとるん?」

悠「気にすんな。世迷い事だ」

緋斗「迷ってんだ」

悠「迷い過ぎて明日も見えないよ」

緋斗「転ばぬ先の杖もってたらええんちゃう?」

悠「暗闇で杖なんか突いててみろ。ずっこけて貫かれるぞ」

ズブシュッ!

緋斗「昔の残酷な処刑みたいやな。ただ、そんな話ししながらケチャップまみれのハンバーグにフォーク突き立てて持ち上げるんはどうなんやろ」

悠「こういうのは嫌いか?」

緋斗「黒い笑いは大事と思う」

悠「だよなぁー」

のぞみ「あっ、緋斗」

緋斗「おう。のび子」

悠「のび子?」

緋斗「自分と同じクラスでのび子って言うんだわ」

のぞみ「野々村のぞみ!」

悠「野々村光太郎?」

のぞみ「誰よ!」

緋斗「こおっち」

悠「心臓が息の根を止めるまで、真実に向かってひた走れ。それが刑事だ。」

のぞみ「カッコいいな。お前刑事なの?」

悠「初対面で明らかに年下ヤツにお前とかいわれた。」

緋斗「ごめんなーごめんなー悠やん。コイツ、敬語使えないんだよー」

悠「それ大文字(だいもんじ)だろ」

緋斗「大問題な。そうなんだよ。しかも致命的に頭悪いし」

のぞみ「うっさいアホ!」

悠「あぁ、馬鹿っぽい感じするわ」

緋斗「だしょー」

のぞみ「へっへっへ~」

悠「そこで笑うのはどうかとおもうぞ」

のぞみ「私もそう思う」

緋斗「ってか、お前はなんでトレイ持ってウロウロしてんだ?飯は?」

のぞみ「うどん頼んだ」

緋斗「なんで持ってない」

のぞみ「受け取った瞬間、熱かってぶちまけちゃったんだ。おまけにそれがおばちゃんにかかって大惨事」

悠「ドジってか……足りない子か?」

緋斗「……まぁ、ギリギリかな。ギリギリアウト」

のぞみ「さすがにもう一度うどんを頼む勇気がなくて」

緋斗「あのな……」

悠「よかったら、コレ食うか?A定食」

のぞみ「え?」

悠「ハンバーグはフォークで貫いたけど口は付けてないし」

緋斗「悠やんいいの?」

悠「あー、おれ弁当あるし」
ドンッ

緋斗「なんでそんな運動会のときに親御さんが気合入れて作る弁当みたいにデカイお重を持ってて、けっこうなボリュームの割に値段の安い学生に大人気のA定食頼んだ」

悠「説明乙。」

緋斗「いやいや」

のぞみ「貰っていいの?」

悠「いいぞ。先輩として奢ってやんよー」

緋斗「あれ、自分は?」

悠「じゃあ、お茶やるよ」

緋斗「呑み終えて空のペットボトル……捨ててこいと?」

悠「五百円やるから自分の好きな飲み物とおれの分買ってきてくれついでに」

緋斗「おっけ。ゲルオレンジ買ってくる」

悠「おれはゲルグレープな」

のぞみ「あ、あのー」

悠「あー?」

のぞみ「あり、ありがとー///」
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