ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ホーライ号「というわけですっかり同情されてしまいました。そうなのかあ。ノイローゼっぽいから幻を見たりするのかあ、と思ってそれからはできるだけ休むように心がけたんですが」

ミハイル「ですが?」

ホーライ号「でもベッドで横になっていても夜中になるとなぜか目が覚めておじさんや子供たちだけじゃなく、軍服を着た軍人さん、夫婦連れとおぼしきカップル、太ったおばさんまで見るようなって自分でも訳が分からなくなり、いよいよこいつは病気だ、仕事の役に立たないというわけでエメラダに送り返されてきたわけなのです。」

ミハイル「ふーむ……なにが原因なのかな」

ホーライ号「まったくわかりません」

ミハイル「何が原因かわからないんじゃ手の打ちようがないとりあえず休んでろ。」

ホーライ号「はぁ…」

その場を後にするミハイル。

ホーライ号に何が起きてるのか突き詰めて調べる必要があるなと考えているうちに夜になっていた。

今日はもうとにかく寝ようと床についた。すぐにいびきをかき始めたのだが……。

ミハイル「くんっ……なんだぁ?きなくさいなぁ……えっ!?」

とっさに身を起こした。夜中にきな臭いにおいホーライ号が言っていたこととをまるで同じだったのだ。しかも、ドアの向こうからパタパタと子供の足音が聞こえてくる。

廊下へ飛び出てみるとほんの一瞬だが小さな女の子の後ろ姿が見えた後を追ってみたが曲がり角の先で消えてしまっていた。


~~


翌日、ウクライナ出張所にいるフミン号へ電話を入れた。

フミン号『もしもし、殿下ですか?朝からいったいどうしたんです?え?なんですって?』

ミハイル「だから出張所がホテルだった時代になにか事件が起きてないか調べてみろと言ってるんだ。」

フミン号『なぜですか?』

ミハイル「なぜだと?なぜでもいい!」

フミン号『は、はぁ…』

電話を切って殿下は言った。

ミハイル「再度確認するが昨日火事や侵入者などはいなかったな?」

チコ「はい、火事もですけど侵入者なんていれば即警報がなりますよ。夜勤のムーンさんたちにも確認しましたが異変はなかったそうです。」

ミハイル「ふむ、きなくさい匂いや子供たちは出張所からホーライ号が連れてきたのかもしれない。ということは」

チコ「ということは?」

ミハイル「間違いない何かあったんだ。出張所から連絡がはいったらすぐに呼べ」

チコ「わかりました」
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