ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「ウクライナでなにかあったのか?」

たっぷりと間をあけてホーライ号は口を開いた。

ホーライ号「……ありました。」

ミハイル「なんというかシリアルだな」

ホーライ号「は?」

ミハイル「いやリアル、シビア?とにかく深刻そうだなと言いたいのだ」

ホーライ号「本当に…信じられないようなことが起こったのです。」

ミハイル「聞こう」

ホーライ号「ウクライナ出張所の建物は昔ホテルだったのです。それを改装して使ってたのですが」

ミハイル「なんとなく覚えてるぞ。家賃がすごく安かったんじゃないか」

ホーライ号「そうなんです。ですから、みんなで『おいおい、何か出るんじゃないだろうな』などと言いあってたんです。ところが……」

ミハイル「ところが?」

ホーライ号「なにも起きませんでした。」

ミハイル「なんじゃそりゃ!」

ホーライ号「半年の間ではです。」

ミハイル「半年たって何か起きたのか?」

ホーライ号「最初に異変に気がついたのはある日の夜中でした。」

ミハイル「ふむ」

元はホテルですから部屋はたくさんあります。あてがわれた個室で寝ていたら、なんだかきな臭いかおりが漂ってきたのです。まさか火事になったのかと飛び起きて……。

ホーライ号「出張所中見回りましたがどこにも火の気はありませんでした。もしかしたら外でたき火でもしてるのかなと思ってその日はそのまま寝てしまったのです。」

ミハイル「たき火?夜中に?」

ホーライ号「殿下みたいなひねくれ者だったらたき火もありうるでしょう。」

ミハイル「なるほど……どういう意味だ!」

ホーライ号「それはさておき」

次の日もきな臭さを感じたので見回りましたが外から煙が入りこんでる気配はなく。おかしいと思って仲間にも聞いてみました。

ホーライ号『夜中にさ』

『うん?』

ホーライ号『変な臭いがしないか?』

『へんな臭い?』
『いいや』
『別に』

みんなは感じていない様子でした。自分の嗅覚がおかしくなったのか……。

火の気はないし、みんなも感じていない。自分がおかしいんだ、きっとそうだと無理やり思いこんで数日後……。

ホーライ号「夜中にトイレに起きたら派出所にはムーンしかいないはずなのに廊下に見たことのないおじさんが歩いていたんです。」

ミハイル「なんと」
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