ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

自室で書類に目を通していると外からピーポーと救急車のサイレンらしき音が聞こえてきた。それだけなら無視するところなのだが音はどんどん宮殿に近づいてきている。

ベランダに出てみてみるとやはり救急車は宮殿前までやってきていた。誰かが降ろされると担架で中へと運ばれていく。

ミハイル「なにかあったのか?」

チコ「殿下、今ご報告に行こうと思ったところです。」

ミハイル「どうしたんだ」

チコ「ウクライナ出張所に勤務してたムーンホーライ号さんが帰ってきたんです。」

ミハイル「救急車で?」

チコ「向こうで病気になっちゃったらいんですよ。」

ミハイル「なんと、どんな病気だ」

チコ「どんなといわれるほどまとまった病気ではなさそうなんですが」

ミハイル「はあ?」

ムーン1「出張所の仲間の話によると、ひどく身体が弱ってやる気が出なくてとにかく仕事の役に立たない。」

チコ「だからホーライ号さんを送り返してきたらしいんです。」

ミハイル「なにおう?身体が弱ってやる気が出ない~~?けしからん!ていねいに言うとけしくりからん!」

チコ「わかりませんが」

ミハイル「痛いのかゆいのやる気が出ないなどと言うのは怠け者のいいわけにすぎん!カツを入れてやる!といってもトンカツやメンチカツを入れるわけじゃないぞ。」

チコ「はあ」

ミハイル「それでどこにいる」

チコ「医務室です。」

殿下はどかどかと医務室に入るといきなり怒鳴った。

ミハイル「コラーー!えっ?」

ホーライ号「……」

ベッドには青い顔をしてベッドに横たわっていた。

ミハイル「なんだ、ホントに具合が悪そうだな。」

チコ「仮病じゃありませんて…」

ホーライ号「ふう……あ、殿下」

ゆっくりとした動作でベッドから起き上がるホーライ号。

ミハイル「起きて大丈夫か?病気だそうだがどうしたんだ。」

ホーライ号「……すみせんが人払いを」

ミハイル「コホン」

ムーン1「はっ?」

ミハイル「はっじゃない人払いだ」

ムーン1「後払い?」

ミハイル「下らん冗談に付き合ってる暇はない」

「「はーい」」

殿下を残してムーンたちは医務室から退室した。改めて殿下はホーライ号に向き直る。

ミハイル「さあホーライ号人払いをしたぞ。どこからでも口説いてくれ。」

ベッドから転げ落ちそうになるのをなんとか留まるホーライ号。

ホーライ号「たっ、体調が悪いんですからきついジョークは勘弁してください。」
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