ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

それから時間が経って夕食時の食堂。ベタボメ号もやってきて静かに食事をとっていた。

ベタボメ号「……」

料理係「(ベタボメ号だ。のた無意味にほめてくるのかな。)」

ベタボメ号「ごちそうさま。」

夕食を食べ終えて食器を返却するとそのまま黙ってでていった。

料理係「……えっ?ほめなかった。えっ!?味はどう?」

ムーン1「ふつー」

料理係「だよね、普通だよね。だったらベタベタに褒めてきても良さそうなものなのに……褒めなかったどーして!?」

ベタボメ号「ほめたい気持ちをグッとこらえて……。」


次の日の朝…

料理係「今日の朝食はいつもよりがんばったぞ。」

ムーン1「おっ今朝の目玉焼きはサニーサイドアップじゃなくてターンノーバーか」

ムーン3「少し手間をかけたな」

しかし

ベタボメ号「ごちそうさま。」

やはり食事を終えても褒めないままいってしまう。

料理係「どうして褒めないんだ!よーし昼食はもっとがんばってやる!」

でもって昼食の時間になったのだが……。

ベタボメ号「ごちそうさま。」

再三にわたるそっけない反応。

料理係「頭にくるーー!いや、頭に来てる場合じゃない。要するに今まで無駄に褒められすぎてたんだ。普通の味をベタベタに褒められることがむしろおかしかったんだ、よーしみてろよ~夕食は本気をだすぞ~。命がけで作って絶対にうまいといわせてみせる。」

何やかんやあって夕食の時間……。

ムーン1「またシチューか」

ムーン2「変わりばえしないな」

ムーン3「まぁしょうがない。いだきます。」

ベタボメ号「アム……」

料理係「(さあどうだ)」

ゆっくり静かに食べすすめていき、食事が終わると……。

ベタボメ号「シェフ、君ならできると思ってたよ。今夜のシチューは最高だ」

料理係「えっ、あっ、どうも」

ムーン1「彼の言う通りだ今夜の料理は一味もふた味も違う」

「「最高にうまいよ」」

他のムーンたちからも賞賛を受けて拍手も巻き起こった。

料理係「ああ……ありがとうベタボメ号。君のおかげで実力以上の力が出せた。君のおかげで頑張れたんだ本当にありがとう。」

ベタボメ号「ああ!(これだ!これでいいんだ!これが褒め道なんだ!)」

ミハイル「……どうやらつかんだな。」
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