ー日常ー街の住人達【8】
ーアラファト家政婦派遣協会ー
物陰から見張っていると、鬼ババもとい奥さまはある部屋の前で立ち止まって一呼吸おいてインターフォンを押した。
眼鏡の男性「はい。あ、大家さん。」
なんと、おじいさんではない。まだ三十前半、下手したら二十代ぐらいの青年が出てきたではないか、あの鬼ババいやいや奥さまは若い男性が好きなのか。
中島「またお芋の煮っ転がしを作ってみたの良かったら召し上がって」
おまけに自分で作ったことにしている……。やれやれだぜ!
眼鏡の青年「ありがとうございます。いつも親切にしていただいてすみません。大家さん、大好きです。」
中島「まっ!」
勘違いした。青年は煮っ転がしが好きだといったのに……。
よほど気を良くしたのかみるみる顔が高揚していく奥さまだったが急に胸を押さえてその場にへたり込んだ。
眼鏡の青年「大家さん!?」
マリア「あーー!年甲斐もなく興奮するから!手を貸して早く中にいれるんです!」
眼鏡の青年「えっ、君は!?」
マリア「家政婦です!いいから早く!」
青年の部屋の中へとかつぎ込んで布団へ寝かせるとおマリは水をコップいっぱい汲んで薬と一緒に飲ませた。苦しそうにしていた呼吸が次第に収まっていく。
中島「ふーふー……ふー……ふー……」
マリア「よかった間にあった。めちゃくちゃ人使いが荒いわりにお身体が弱くて……奥さまは心臓に持病をお持ちなんです。薬を持っててよかったとりにもどってたら、間に合わなかったかもしれない。」
眼鏡の青年「薬を持ってるように指示を?」
マリア「いえ、自発的に…薬箱から一粒いただいておいたんです。」
眼鏡の青年「なぜ?」
マリア「なぜって今みたいなときに、お飲ませするためです。たとえ、どんな方でもお世話になっている以上は、ご主人さま。家政婦としてご主人のお体を気遣うのは当然のことです。」
眼鏡の青年「君はどこの派遣会社のひと?」
マリア「アラファト家政婦派遣協会です。」
眼鏡の青年「……」
奥様を無事に家へ送り届け、おマリはその夜もラジオを聞きました。今夜こそ自分たちのメールが読まれるかもしれないと。
『今夜、ある出来事があって例の家政婦協会のことを調べてみました。』
マリア「あれっこの声は…」
『調べれば調べるほどアラファト家政婦派遣協会のことを悪く言うひとはいませんでした。それどころか協会の家政婦の有能さを皆一様にほめるのです。告白します、僕は3週間ほど前にやってきた協会の家政婦に酷い目にあわされた被害者団体の代理人と名乗る男たちに頼まれ彼らに渡された原稿を視聴者からのメールといつわって読んでいたのです。原稿の内容がホントかどうか、ちゃんと確認もせずに……僕としては困ってる人たちを助ける。ひと助けのつもりでしたが、結果的に皆さんに、とんでもない嘘をお伝えすることになってしまったのです。許してください僕は今日限りでアナウンサーをやめます!』
それを聞いておマリは布団から飛び出した。今の放送を聞いて頼んだ男たちがほっとくはずがない。
駆け足でFM会社へと向かったが既に争っている声が聞こえてくる。
マリア「しまった遅かった!」
すると角からガラの悪い男たちが数名まとまって吹き飛んできた。
お熊「口ほどにもないわね。」
マリア「お熊さん!!」
ガラの悪い男「お熊!?」
ガラの悪い男「CIAだと!逃げろ!」
お熊「あたしも放送を聴いてたのよ。考えたことは同じだったようね。」
マリア「アイツらはまた来るでしょうか」
お熊「連中も警察沙汰には、したくないでしょうからもう彼を狙ったりしないとおもうわ。」
眼鏡の青年「……」
マリア「アナウンサーをやめるなんていわないでください。番組を楽しみにしてるんですから。」
眼鏡の青年「許してもらえますか」
お熊「(あたしを日本CIAの嘱託部員と知っていた。やっぱりアイツの影がちらつくわね。)」
物陰から見張っていると、鬼ババもとい奥さまはある部屋の前で立ち止まって一呼吸おいてインターフォンを押した。
眼鏡の男性「はい。あ、大家さん。」
なんと、おじいさんではない。まだ三十前半、下手したら二十代ぐらいの青年が出てきたではないか、あの鬼ババいやいや奥さまは若い男性が好きなのか。
中島「またお芋の煮っ転がしを作ってみたの良かったら召し上がって」
おまけに自分で作ったことにしている……。やれやれだぜ!
眼鏡の青年「ありがとうございます。いつも親切にしていただいてすみません。大家さん、大好きです。」
中島「まっ!」
勘違いした。青年は煮っ転がしが好きだといったのに……。
よほど気を良くしたのかみるみる顔が高揚していく奥さまだったが急に胸を押さえてその場にへたり込んだ。
眼鏡の青年「大家さん!?」
マリア「あーー!年甲斐もなく興奮するから!手を貸して早く中にいれるんです!」
眼鏡の青年「えっ、君は!?」
マリア「家政婦です!いいから早く!」
青年の部屋の中へとかつぎ込んで布団へ寝かせるとおマリは水をコップいっぱい汲んで薬と一緒に飲ませた。苦しそうにしていた呼吸が次第に収まっていく。
中島「ふーふー……ふー……ふー……」
マリア「よかった間にあった。めちゃくちゃ人使いが荒いわりにお身体が弱くて……奥さまは心臓に持病をお持ちなんです。薬を持っててよかったとりにもどってたら、間に合わなかったかもしれない。」
眼鏡の青年「薬を持ってるように指示を?」
マリア「いえ、自発的に…薬箱から一粒いただいておいたんです。」
眼鏡の青年「なぜ?」
マリア「なぜって今みたいなときに、お飲ませするためです。たとえ、どんな方でもお世話になっている以上は、ご主人さま。家政婦としてご主人のお体を気遣うのは当然のことです。」
眼鏡の青年「君はどこの派遣会社のひと?」
マリア「アラファト家政婦派遣協会です。」
眼鏡の青年「……」
奥様を無事に家へ送り届け、おマリはその夜もラジオを聞きました。今夜こそ自分たちのメールが読まれるかもしれないと。
『今夜、ある出来事があって例の家政婦協会のことを調べてみました。』
マリア「あれっこの声は…」
『調べれば調べるほどアラファト家政婦派遣協会のことを悪く言うひとはいませんでした。それどころか協会の家政婦の有能さを皆一様にほめるのです。告白します、僕は3週間ほど前にやってきた協会の家政婦に酷い目にあわされた被害者団体の代理人と名乗る男たちに頼まれ彼らに渡された原稿を視聴者からのメールといつわって読んでいたのです。原稿の内容がホントかどうか、ちゃんと確認もせずに……僕としては困ってる人たちを助ける。ひと助けのつもりでしたが、結果的に皆さんに、とんでもない嘘をお伝えすることになってしまったのです。許してください僕は今日限りでアナウンサーをやめます!』
それを聞いておマリは布団から飛び出した。今の放送を聞いて頼んだ男たちがほっとくはずがない。
駆け足でFM会社へと向かったが既に争っている声が聞こえてくる。
マリア「しまった遅かった!」
すると角からガラの悪い男たちが数名まとまって吹き飛んできた。
お熊「口ほどにもないわね。」
マリア「お熊さん!!」
ガラの悪い男「お熊!?」
ガラの悪い男「CIAだと!逃げろ!」
お熊「あたしも放送を聴いてたのよ。考えたことは同じだったようね。」
マリア「アイツらはまた来るでしょうか」
お熊「連中も警察沙汰には、したくないでしょうからもう彼を狙ったりしないとおもうわ。」
眼鏡の青年「……」
マリア「アナウンサーをやめるなんていわないでください。番組を楽しみにしてるんですから。」
眼鏡の青年「許してもらえますか」
お熊「(あたしを日本CIAの嘱託部員と知っていた。やっぱりアイツの影がちらつくわね。)」