ー日常ー街の住人達【8】

ーアラファト家政婦派遣協会ー

マリア「どうなってるんですか!めちゃくちゃイライラさせられた上に2日寝てないから、体調が悪いーーー!!」

吠えながら自分の尻尾を追い回す犬のようにグルグルと走り回っている。

おばさん「その割には元気ね」

おばちゃん「若いから」

マリア「ハッ、おまけに今日は木曜日!」

今まで狂ったように回っていたがハタと足を止めたかと思うと今度は頭を抱えた。

おばさん「木曜日がどうしたって?」

マリア「中島さまというお宅にうかがう日なんです。ひとり暮らしのおばあさんなんですが、これが強烈に人使いが荒くて」

おばちゃん「いるわね。雇った以上、死ぬまで使い倒さなけりゃ損だって人が」

マリア「でもちょっと面白いこともあって」

おばさん「なぁに?」

マリア「ときどき、夕食に大量の芋の煮っ転がしをリクエストされることがあるんですが食は細くてらっしゃるのに、こんなにたくさんどうするんだろうと思っていた、ある日忘れ物に気付いて取りに戻ったら中島の奥さまが煮っ転がしの鍋をもって出てらっしゃったんです。余所行きに着替えてちょっとお化粧もされて」

「「へーえ」」

マリア「奥さまは近所にアパートをお持ちでその家賃収入で暮らしてらっしゃるんですけど、もしかしたらアパートに素敵なおじいちゃんがいて、その人のところに煮っ転がしを持っていくのかなと想像したら、あんな鬼ババもとい厳しい奥さまにも少女みたいな一面があるんだなとちょっと、ほほえましかったんです。」

おばさん「そうそう楽しみは何なりと自分で見つけないとね」

お熊「メール作戦は失敗だったようね。別の手を考えるわ」

マリア「お願いします。私はこれから中島様です。」


~~


中島「来たわね。」

マリア「はい、それで今日は何を……」

中島「あれをやってこれをやってそれをやってグズグズしないで!」

部屋掃除、トイレ掃除、風呂掃除、洗濯、炊事やれることをこれでもかと押し付けてくる。普通の家政婦なら半日で根をあげかねない怒涛の仕事量をなんとかこなし、夕方になってようやく一息つけた。

マリア「ゼェゼェ…」

中島「夕食は芋の煮っ転がしよ。」

マリア「あ、はい……(ということは)」

おマリは夕食の用意を済ませいったん帰ったふりをして、見張っていました。

楽しみは自分で見つけなきゃ。どんなじい様か確かめてやる。
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