ー日常ー街の住人達【8】

ーアラファト家政婦派遣協会ー

翌朝

お熊「おはようございまーす。皆さん今日も元気に……」

「「「……」」」

朝から漂う不穏な空気に疲れ切った顔。

お熊「なによこれ。」

マリア「お熊さん実は……」

おマリは昨夜の誹謗中傷メールのラジオの一件を説明した。

お熊「それでイライラしてみんな眠るどころじゃなかったと……。それにしても悪口メールがそんなに?」

マリア「そりゃあもう次から次へと」

お熊「自然発生的に嘘のメールが集中するとは思えないわ。誰かの意図を感じるわね。」

マリア「誰かって?」

お熊「うちの評判を落としたがってるだれかよ」

マリア「というと……例の新しい家政婦派遣会社?」

お熊「決めつけることはできないわね。思いもかけないことで、うちに恨みを持ってる人間がいるかもしれないわ。」

マリア「たとえば?」

お熊「そうね。たとえば…うちは家政婦のレベルを維持するために人材を厳選しているわ。面接に来ても半数以上落とされてるのよ。落とされた誰かが逆恨みしている可能性もあるわ。」

おばさん「そう考えたら人間、どこで恨みを買うかわからないわね。」

おばちゃん「良かれと思ってやったことが仇になることだってあるし」

おばさん「怖いわねぇ。」

マリア「嘘メールにどう対処したらいいでしょうか」

お熊「決まってるわ。メールにはメールよ」

マリア「はっ?」

お熊「みんなでラジオ局にメールを送るのよ。嘘つきに対抗するんだから、多少でっち上げでも、構わないわつまり、うちから家政婦を雇ったらすごく親切だったとかこんな有能だったとか、そういうメールを山のように送って反対キャンペーンを展開するのよ。」

マリア「なるほどそれは効きそうですね。みなさん聞いたとおりです。協力をお願いします。」

「「「おーー」」」

おばさん「アラファトの人間とバレないようにR・Nを考えないとね。」

おばちゃん「あたしはもう決めたわよ」

おばさん「なんて?」

おばちゃん「あたしの魅力を表現した名前よ。うるわしのマリリン」

おばさん「うるめいわしのノータリン?」

マリア「内輪で揉めてる場合じゃありませんよ!」

そしてみんなでセッセとメールを打ちました。

が!

その夜も読まれたのは中傷ばかりでおマリたちからのメールは、ひとつも読まれませんでした。
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