ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:アラファト家政婦協会ー

番頭「ようするに派遣を切られて職にあぶれた若者たちを安い給料で雇って、給料は安くても正社員あつかいになるので、どんどん人は集まってるそうだが、そいつらを教育して家政婦にしてうちの半分くらいの料金で働かせる計画らしい。」

「「「ええっー!?」」」

おばちゃん「半分の料金!?」

おばさん「うちの仕事を全部取られてしまうわ!」

家政婦A「協会が潰れちゃいます!」

番頭「恐らくそれが狙いじゃろう。安売り攻勢をかけて体力勝負に負けてうちが潰れたら、あとはやりたい放題じゃ。都内最大の家政婦派遣協会であるうちのいわば、なわばりを乗っ取る計画じゃろう。もちろん莫大な資金が必要な話ではあるが。」

マリア「どこの誰がそんなことを企んでるんでしょう」

番頭「わからん。あの不気味な顔の男が絡んでるのは間違いないと思うが敵の正体については見当もつかん。」

マリア「どっちにしても悪質な奴らですね。」

番頭「うむ」

マリア「新しく会社を作るなら、お役所に申請してるはずですがお役所は悪質な会社だということを把握してるんでしょうか」

番頭「いや、そこまではチェックせんと思うが……。そうじゃ役所へ行って申請の内容を確認しよう。ついでに、いつ営業を始める予定かも調べてくる。それに合わせて対抗策をとらねばならん。」

おマリたちは待っていましたが夕方になっても夜になっても番頭さんは帰ってきませんでした。

そして深夜に一本の電話が入りました。

家政婦A「はい、アラファト家政婦……えっ?警察!?」

警察からの一報だった。番頭さんが襲われて大けがを負った。病院に運び込まれたという内容を聞いて慌てて病院へと駆けこんだ。

マリア「番頭さん!」

案内された部屋にベッドで横たわった番頭さんは包帯だらけの酷い状態だった。

医者「今は薬で眠っています。酷い怪我ですが命に別状はありません。先ほど聞いたところによると数名の暴漢に襲われたそうです。犯人の心当たりはないといってました。」


~~


おばさん「絶対、新しい家政婦派遣会社の仕業だと思うけど…」

おばちゃん「きっと確証がないから番頭さんも言わなかったんだわ。」

家政婦A「ちょっと!このまま引き下がれないわよ!」

マリア「引き下がれないって」

おばちゃん「番頭さんの仇をうつのよ!」

おばさん「番頭さんは役所を探って狙われたんだから!おマリちゃんも明日役所を探るのよ!」

家政婦A「そうすれば、きっと番頭さんを襲った暴漢たちがおマリちゃんをねらうから!そこで得意の喧嘩殺法で返り討ちにするの!」

「「「いいわね!」」」

喧嘩殺法なんてひと言も言っていないのに、口は禍の元だとおマリはすっかり困ってしまいました。しかし逃げ出すわけにも、いかないので頭をしぼって一計を案じました。
76/100ページ
スキ