ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:アラファト家政婦協会ー

番頭「しかし、たいしたもんじゃどんな連中だったんじゃ」

マリア「えーと……見るからに人相の悪い連中で、とくに中のひとりは殺人鬼もはだしで逃げ出しそうな不気味なこの世のものとは思えない乱暴な顔で…」

番頭「イメージがわかんなちょっと描いてみろ」

マリア「えっ」

そういわれて、おマリは適当に顔を描いた鋭利なくらい尖がったモヒカンにスカーフェイスで目つきが悪いこわもて。

番頭「本当じゃ、まさしくこの世のものとも思えん大胆不敵な顔じゃ。」

マリア「でしょー(そういう風に書いたんです)」

番頭「よくこんな奴と戦ったなおマリ、何かの時には頼りにしておるぞ」

マリア「ははは」

笑いながら本当に頼りにされたら困るなぁと思ったおマリだった。

さらに次の日……。

番頭「たいへんじゃー!」

番頭が叫びながら凄い形相で駆け込んできた。

おばちゃん「番頭さん!?」

おばさん「どうしました!」

番頭「ま、まず茶を一杯!」

マリア「はい!」

常備されているポットの中身を茶飲みに注いで差し出した。

番頭「ゴクッ……ダッーーー!」

口に含んだ瞬間、全部を吐きだしてしまった。

マリア「あれ?」

ポットを確かめてみると「お茶」と書かれたラベルが貼ってあるポットではなく「硫化水素水」と書かれたラベルが貼ってあるポットの中身を注いでしまっていた。

マリア「すいません間違えました。」

番頭「わけのわからんものを置いておくな!そんなことより大変なんじゃ!」

おばさん「デスからなにが大変なんです!」

番頭「あまりに大変すぎてどこから、どこから話したらいいのか」

マリア「最初から始めて途中をしゃべって終わりまでいったらやめればいいんです。」

番頭「むっスリランカじゃ。いや、セイロンじゃ。」

マリア「人間が古いと地名まで古い」

番頭「おマリ!昨日お前が描いた似顔絵の男が居ったぞ!」

マリア「ええっ!?」

あんな世紀末ヒャッハー顔の人間が本当にいるのか……。

番頭「用足しに出たら、わしの前を歩いとったんじゃ。びっくりして、後をつけたら3丁目の空きビルに入っていき負った。あのビルは、隣町にある顔なじみの不動産屋が管理しとるのを知っとったから行って聞いてみたら」

『番頭さん、これは本当は内緒なんだがなじみのアンタには隠しておけない。あのビルに新しい家政婦派遣会社ができるんだ』

「「「……」」」
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