ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:某所ー

お父さんが残した莫大な借金を背負っているマリアは借金の返済に追われていつもとても貧乏です。

マリア「まいったなぁ。今月はまだ一週間あるのに百二十円しか残ってない。食事やお風呂は家政婦協会で済ませられるからいいけどおやつも買えないのはつらい……。」

ぼやいてるとあろうことか手の中から百円玉が零れ落ちて地面を転がっていく。慌てて追いかけていき、飛びついて小銭をキャッチした。

しかし、周りのことが見えていなかった。飛び込んだ先は地下へ下りる階段、そのまま頭から見事な階段落ちを決めてしまったのだ……。


~~


おばちゃん「まあ、おマリちゃんどうしたの!?」

おばさん「ボロボロじゃない!?」

マリア「ええと…」

小銭を追いかけて階段にダイビングしたなんてアホらしくてとても説明できない。

おばちゃん「誰かと殴り合いの喧嘩でもしたの!?」

マリア「……実はそうなんです」

おばさん「まあどんな事情で!?」

マリア「えー……あっそうそう道を歩いてたら……えーーーあっそうそう。」

家政婦A「なんなのよその、「あっそうそう」てのは」

マリア「おばあさんが数人の男たちに囲まれて財布を奪われそうになっていたので止めに入ったんですが殴りかかってきたのでやむをえず応戦したんです。」

おばちゃん「数人を相手に!?」

おばさん「やっつけたの!?」

マリア「まぁなんとか」

家政婦A「知らなかったわ。おマリちゃんて強いのね」

マリア「いやいやそれほどでも、ハッハッハッ」

家政婦B「文字通りの名誉の負傷ね」

おばさん「もし、これが転がった小銭を追いかけて階段から転げ落ちて怪我したのなら単なるアホだけど」

マリア「見てました?」

おばさん「えっ?」

マリア「いえ、こっちのことです。すみませんが手当てをしてもらえませんか。」

おばちゃん「あっ、そうね。医務室へ行きましょう。」

マリア「そういえばお熊さんは?」

おばちゃん「出張よ。3日後に戻るわ。」

そして、次の日……

番頭「おマリ聞いたぞ」

マリア「番頭さん。なんですか?」

番頭「2メートルもある屈強なプロレスラー数人を相手に大立ち回りしたそうじゃないか。」

一日にして話が大きくなっていた。

マリア「エーマーソンナートコロデスー。」

番頭「なんじゃ、その片言な返事は。」

マリア「いえいえ、なんでもござーません。」
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