ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

それから更に30分後。

ムーン1「まったくもう仕事をしろといったりやる気を無くさせるような嘘をついたり」

ムーン2「殿下のやることは訳が分からない。」

話ながら廊下を歩いてると曲がり角から携帯の喉を内側からくすぐられるような不協和音が聞こえてきた。……これは殿下の携帯の着信音だ。

「「……」」

なにか悪戯を仕掛けているんじゃないかとその場で留まると殿下の話声が聞こえてくる。

ミハイル『もしもし僕だ。なにっ!?ちょっと待て!』

なにか慌てた様子で辺りをうかがうと殿下は近くのドアの中へと飛び込んだ。

ムーン1「なんだろう」

ムーン2「気になるな」

何事かとドアに耳を当てて盗み聞きをしてみると……。

ミハイル『本当か!間違いないんだな!本当にレディ=ガガがお忍びでエメラダ銀座に来てるんだな!マスコミを押さえろ国民が知ったらパニックになる!僕もすぐ行く!』

ゆっくりとドアから離れて今聞いた話を皆に話した。

「「ええっ、レディ=ガガだって!」」
「見に行こう!」
「あわよくばサインをもらえるかも!」

全員そろってエメラダ銀座までかけていった。しかし……。

ムーン1「なんなんだ。レディ=ガガはおろかかしまし娘もいやしない。」

ムーン2「よせよ」

ムーン1「それにしてもすぐに行くといってたのに殿下は来なかったな。」

ムーン2「うむ」

ミハイル「……」

ムーン1「あっ、殿下さっきの話は……」

ミハイル「ウソピョーン!ケケケケッ!」

ムーン1「またやられた!」

ムーン2「殿下どうして嘘ばかりつくんです!」

ケケケッと笑いながらとんでもないスピードで逃げ回る殿下だった何気なく通りすぎようとした鏡の前でハタと動きを止めた。

僕はどうしてこんな悪そうな顔をしてるんだ。僕はどうして嘘をついているんだ。カンカンッと心のどこかで警鐘がなった。何かがおかしい、何かが違うと。

殿下はおもむろにヘルスチェッカーを自分に当てた。

ミハイル「うん!?僕の体内から僕のものではないパルスが出ている。これはどういうことだ……誰かいる!僕の中に誰かが居て、そいつが僕に変な顔をさせたり嘘をつかせたりしているのか!見破ったぞ!僕の中にいるやつでてこい!」

そう叫ぶと、ミハイルの口から白いモチのようなものがニュッと吐きだされた。
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