ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「この手は使える!」

効果が出たことに調子づいた殿下は次のムーンにも同じように催眠をかけた。

今は5月じゃない8月だ。真夏だ。

ムーン2「暑いー!」

ミハイル「暑けりゃ仕事をするんだ!集中すれば暑さを忘れる!」

セッセッと仕事に取り掛かり始めるムーン、これまた成功したらしい。

ムーン2「なんとなく涼しくなってきました。」

ミハイル「バンザーイ!これでいいんだ!わかってみれば簡単なことじゃないか!ダレてるやつらをここに連れて来い!」

チコ「は、はい!」

ミハイル「今は6月だ!梅雨入りだ!」

「「ジメジメするー!」」

ミハイル「頑張って仕事をして不快感を忘れろ!」

「「うおーー!」」

ミハイル「今は3月だ!今年は開花が早いから、このあと花見だ!」

「「先に楽しみがあるから仕事が捗るー!!」」

ミハイル「ワッハッハッ。笑いが止まらない」

チコ「殿下は何月です?」

ミハイル「そうだな。僕は4月1日生まれだから4月だな。一年で一番過ごしやすい季節だ。わっはっはっ。」

などといって笑いながら大広間の方へ行ってしまった……が、いきなり大慌てで戻ってくる。

チコ「あれ?」

ミハイル「大変だ大広間が燃えている!火事だ!」

「「「えぇっ!?」」」

チコ「消火器を持ってこないと!」

ムーン1「スプリンクラーはなぜ作動しない!」

消火道具を持って大広間へと突入したが火事どころか、火の気がない。

「「えっ?」」

チコ「殿下、火事は?」

ミハイル「ウソピョーン!ケケケケッ!」

ムーン1「なんなんだ」

チコ「わかりません…」

それから30分後……

ムーン1「今は5月じゃないと思うと仕事をする意欲が湧いてくるな。」

ムーン2「不思議なものだ。」

なにはともあれいつもどおりの業務に戻り安心していたのだが……。

ミハイル「……」

さっきまでの格好とは違いバッチリと正装に着替えた殿下が神妙な顔でやってきた。

チコ「殿下、どうしました?おめかしして」

ミハイル「えらいことになった。妹に会うことになった。」

「「「はあっ!?」」」

ミハイル「僕に妹が居たんだ。父上の隠し子だ。」

「「「本当ですか!?」」」

ミハイル「ウソピョーン!ケケケケッ!」

またもしょうもない嘘をついて騒がすだけ騒がしたら逃げ出してします。

ムーン1「なんなんだー!なんなんだあれは殿下のあの態度をどう思う!」

ムーン2「顔は同じだがポーズは違ってたな。」

ムーン1「そこでなくて!!」
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