ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「ですけど、皆さんがこのままだと仕事が遅れてしまいますよ。」

ミハイル「うーむ。やる気が出ないシンドロームの原因は?」

ムーン1「ふあ~?」

ミハイル「なぜやる気が出なくなったか原因に心当たりはないかといってるんだ。」

ムーン1「たとえば?」

ミハイル「たとえば……ミミズにおしっこをひっかけるとか」

チコ「殿下…」

ムーン1「そんなことやってませんよ~」

ムーン2「だいたいミミズなんかやる気に関係するんですか」

ミハイル「だからあくまでたとえば、だ。」

ムーン1「やる気は出ないわ。殿下のたとえ話は頭痛がするほど気が抜けるわ。」

ミハイル「皮肉が言えるならそれほど重症でもなさそうだな。とりあえず、焼肉のタレは普通なんだな」

チコ「焼肉のタレじゃないですけど普通です。」

ミハイル「ならしばらくお前が指揮をとっていろ。動かん奴は殴っていいから。」

チコ「そんな無茶な!?」

殿下は自室にこもって原因を探ることにした。しかし、病気ではなさそうだが原因はなにか、そもそも原因があるのか。

しばらくパソコンとにらめっこしていたが、漠然と調べているからハッキリした解答が出てこない。

そこで方向を変えて似たような症状がないか調べていくと「五月病」というキーワードがでてきた。

ミハイル「五月病!?だるくてやる気が出ない、集中力がなくボーっとする、そっくりだ。五月病~?五月病につける薬なんてあるのかな心理的なもので特効薬なんかなさそうだ。やっかいだなー。考え事をするときは歩き回るのが一番だ」

アイデア、アイデアとうなりながらその辺りをグルグルと歩き続ける。心理的なもの、心理的……。

すると、何かを思いついたらしく手を叩いて自室を出た。

チコ「うーん…」

ミハイル「やっぱりまだ寝てるのか」

チコ「ああ、殿下。」

ミハイル「おい、お前」

ムーン1「ふあー?」

ミハイル「これを見ろ」

殿下が取りだしたのは五円玉に紐を括りつけたものだった。それをぷらぷらと揺らし始める。

ムーン1「……」

ミハイル「今は五月じゃない。五月じゃない五月じゃない。今は1月だ真冬だ。」

ムーン1「……うわっ寒い!」

ミハイル「寒かったら仕事をするんだがんばればあったかくなる!」

ふるふると震えていたムーンは席についてすごい勢いで仕事を始める。

ムーン1「ほんとだあったかくなってきた。」

ミハイル「この手は使える!」
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