ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:アラファト家政婦派遣協会ー

都心にあるアラファト家政婦派遣協会の休憩室。

おばちゃん「あ~今日もしんどかったわ~。朝からお仕事3つかけもちよ。」

おばさん「殺人的なスケジュールだわね。」

マリア「番頭さん人使いが荒いですからね。」

おばちゃん「人間だからもってるのよ。雑巾だったらとっくに擦り切れてるわよ。」

マリア「まあまあ」

おばさん「新聞を見てもさつばつとした事件ばかりだし」

おばちゃん「例の矢猫事件?」

おばさん「そう」

マリア「矢猫というと……何者かが手製の弓矢でそこらへんの猫を射ちまくってるというアレですか」

おばさん「そのアレよ。もう何十匹も大けがさせられてるわ。」

おばちゃん「ノラ猫も飼い猫もおかまいなしの無差別テロ」

マリア「ひどいことしますねぇ。」

番頭「こりゃっ!とっくに就寝時間を過ぎとるのになにを無駄にくっちゃべっとるか!」

マリア「いいじゃないですか番頭さん。皆さん、一日の疲れをおしゃべりでいやしてるんですから。」

番頭「電気のムダ!無駄に電気を使うとCO2がふえて地球温暖化が進むことになる!お前たちが夜更かしするとそれだけ早く南極の氷が溶けるんじゃ!わかったら寝ろ!」

謎の理論を展開してまくしたて終わると襖を絞めて出ていった。

マリア「……ん?」

おばさん「ふーんだ!心配してるのは温暖化じゃなく電気代の方でしょうが!」

番頭さんの服から何かが落ちたのをおマリを拾い上げた。猫の毛だ。なぜこんなものがと思いつつ同僚のおばさんたちと大部屋へと移動した。

ちなみに家政婦さんたちは大部屋で雑魚寝です。

マリア「番頭さんは個室ですよね。」

家政婦A「そうよ。この建物の最上階が社長の自宅。番頭さんは、その下の階に一人部屋をあてがわれてるわ。」

家政婦B「あたしたちは雑魚寝だってのにさ。」

おばさん「いい気なもんよね。」

マリア「個室で猫を飼ってたりするでしょうか」

「「「猫!?」」」

おばちゃん「そんな様子はないわね。」

おばさん「飼ってりゃ誰か気がつくわよ。」

家政婦A「だいたい猫なんか飼う玉じゃないわ。猫を見たら猫鍋にして食っちゃうわよ。」

「「そうそう」」

おばさん「なぜいきなり猫の話なんか?」

マリア「いえ……」

おばちゃん「電気消すわよー。」

消灯されマリアも床についた。しすし、疑問は残る、だったらあの毛はいったいどうしたのかと……。
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