ー日常ー街の住人達【8】

ーアラファト家政婦協会:休憩室ー

おばちゃん「がぜん面白くなってきたわね!」

おばさん「わたしたちそういう話、大好きよ!」

マリア「やっぱりお熊さんに相談したかったなぁ。……別口ってお熊さん今なんの仕事をしてるんです?」

おばさん「CIA関係」

マリア「ときどきそんなことを言ってますが、あれは本当なんですか」

おばちゃん「あら、本当よ。米海軍特殊部隊SEAL(シール)にいたころスカウトされたそうでね。なんといってもお熊は語学がたんのうで格闘技は超一流、銃器の扱いにも長けてるからCIAがぜひにと望んだのよ。ところがSEALとしても、こんな逸材を手放したくはないそこで折衷案として正規ではなく、嘱託(しょくたく)の職員としてCIAで働くようになり、その流れで今もときどき日本CIAの手伝いをしているのよ。」

マリア「すごいというか訳が分からないというか……」

おばさん「話を戻しましょう。その奥さんって内気な人?」

マリア「ええ、かなり内向的な方です。」

おばさん「やっぱり。あたしだったら旦那を追及して白状させるけどそれができないから悶々として病気みたいになっちゃうのよ。」

マリア「どうしたらいいでしょう」

おばちゃん「家政婦協会の系列に探偵事務所があるから調べてもらったら?」

マリア「浮気調査ですか」

おばちゃん「そう。調べた結果だんながシロなら問題がないけれどクロなら証拠をつきつけて女と別れさせるかそれともいっそ慰謝料をとって別れるか……どっちにしても行動を起こすほうがいいわ。このままだと奥さん、本当に病気になっちゃうわよ。」

マリア「そうですね。わかりました。さすが人間が古いだけありますね。」

おばちゃん「本気で喧嘩売ってるの?」

次の日、本当はお休みなのですが奥さまと相談するため、おマリは出かけていきました。

預かっている鍵を使って玄関を開けた。奥さまはまだお休み中かもしれないので静かに中へと入った。

そっと部屋をのぞき込むと、奥さまは難しい顔をして手にロープのようなものを握っていた。それを見て、おマリは飛び込んだ。

マリア「奥さまー!」

奥様「キャアッ!?」

マリア「早まってはいけません!首なんかつってはいけません!よく言うでしょう死んで花実が咲くものか死んで花実が咲くのなら墓の周りは花だらけ!」

奥様「死のうとなんかしてません!以前プレゼントされた着物の整理をしていただけよ!」

マリア「えーと……失礼しました。旦那様からのプレゼントですか。」

奥様「ええ、以前は記念日には必ずプレゼントをしてくれたわ。とても優しい人だったのに……最近はろくに口もきいてくれない…どうしてこんなことに…」

マリア「あのー、実はそのことでご相談が……」
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