ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル殿下の入浴剤作成のお触れを出してから数日、ついに試入浴会が開催された。

ムーン1「大浴場に入浴剤を入れてしまうといちいちお湯を全部かえなくちゃいけませんから……」

チコ「こちらのタライに入っていただきます。」

ミハイル「結構だ」

ムーン1「まずは私たちのお風呂をどうぞ」

タライに入浴剤を巻いてグルグルとかき回す。するとね香ばしい匂いがひろがっていく。

ミハイル「なんだかいい匂いがするな。おまけになんだこの浮いてのは」

ムーン1「ワカメです」

ミハイル「はあっ!?」

ムーン2「とにかく入ってください」

ミハイル「うむ」

ムーン3「どうぞ」

殿下がタライにつかるとお椀と箸が差し出される。

ミハイル「なんだこれは」

ムーン1「では、どうぞ」

オタマで湯をすくうとお椀に注いだ。

ムーン2「飲んでください。」

ミハイル「ゴクッ、おおうまい!って、アホかーーっ!!ただの味噌汁じゃないか!!」

ムーン1「で、でも、出汁の配合に苦労したんですよ!」

ミハイル「言ってる意味が分からん!」

めっ叩きにされる第一チーム。すぐに取っ払われて次のチームの準備に進んだ。

ムーン3「次は僕たちのお風呂です。」

ミハイル「……なんだかすごく嫌な臭いだな。」

ムーン4「手をつけてみてください」

かなりの異臭が漂う湯にミハイルが手を付けて引き抜くと、なぜか手が真っ黒に汚れていた。

ミハイル「なんだこれは!」

ムーン6「臭くてなぜか身体が汚れる入浴剤です。」

ミハイル「ドアホがぁぁ!」

クギバットでめちゃくそにぶっ叩かれる第二チーム。殴り飛ばされている間に、第三チームの準備が済んだ。

ムーン7「次はぼく達です。殿下の大好きな入浴剤ですよ。」

ミハイル「なんだ?」

ムーン8「小銭を大量にとかしたんです。」

ミハイル「おお、それは期待できそうだ。」

そういってタライに足の先を突っこんだ瞬間、悲鳴をあげて飛びあがた。

ムーン9「コインを溶かすマジックを真似しようと思ったんですがタネが分からなかったので……硫酸を溶かしたんです。」

ミハイル「僕を殺す気かーーー!」

棍棒でぐちゃぐちゃに叩き潰される第三チーム。結果的に入浴剤とはかけ離れたものを作ってしまい。どのチームもボーナスを獲得できなかった。
49/100ページ
スキ