ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ムーン1「殿下ー!たいへんです!」

ミハイル「どうした!」

ムーン「ニューヨークで大惨事です!」

ミハイル「テロか!」

ムーン1「え?」

ミハイル「またテロかといってるんだ!」

ムーン1「テロじゃありませんフロです。」

ミハイル「……はぁっ?」

ムーン1「ムーン用のお風呂はとても狭くて汚いんです。」

ミハイル「ふーん」

ムーン1「とにかくせまいものですから3人ずつ交代で入るんですが何度掃除しても床のタイルがぬるぬるしているので1人がコケて他の2人にぶつかって出血するわ骨折するわで、入浴で大惨事」

ミハイル「なんなんだ」

ムーン1「このままじゃ怪我人が続出します。お願いですお風呂を新しくしてください。」

ミハイル「リフォームしろと?」

ムーン1「はい」

ミハイル「お金がかかるじゃないか」

ムーン1「怪我をした三人は寝込んでいます。もちろん仕事はできません。ほっといたら怪我人が増えて、どんどん仕事が遅くなって、結局殿下が損をすることになりますけど。いいんですか?」

ミハイル「ぐっ」

ムーン1「多少お金はかかりますがリフォームして怪我を防ぐ方が長い目で見た場合まちがいなく殿下の得になるお話だと思いますけど……いかがです?」

ミハイル「うぬぬぬっ、その通りだから余計に腹が立ち、あまりにも正しいことを言われるとつい逆らいたくなるのだが、しかし、そうも言ってられないような気がする。確かに怪我人が増えて仕事が遅れるのは困る。しかしリフォームするにはオゼゼがかかるし……どうしよう、どうしよう」

守銭奴オブ守銭奴のミハイルは怪我人が出ているにもかかわらず葛藤しながらウロウロとその辺りを歩き始めた。

ムーン1「殿下!なにをウジウジしてるんです!男ならスパッと決断してください!」

ミハイル「スパッ!どうしよう、どうしよう」

ムーン1「殿下っーー!!」

ミハイル「ええい、わかった!リフォームしよう!」

ムーン1「本当ですね!!」

ミハイル「男に二言はない!」

ムーン1「やっ…」

ミハイル「や?」

ムーン1「やったーーーー!みんな喜べ!お風呂が新しくなるぞー!」

ミハイル「よっぽど嬉しいんだな……。しょうがない仕事のための投資と考えるしかないか。」

工事におよそ一か月。その結果できあがったのがとても立派な大浴場。
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