ー日常ー街の住人達【8】

ーミハイル宮殿:大広間ー

チコ「おお、みごと!」

モファンスキー『がるるっ!』

妖怪は動けないのが窮屈なのかうなっている。

さつき「殿下、こいつを押さえてください!あたしがさばきます!」

いつの間にか手にナイフをもったさつきが叫びながら突進していく。

チコ「さつきちゃん?!」

ミハイル「えっ、おさえるったって。」

モファンスキー『ガァァッ!』

さつき「きゃっ!」

妖怪が吼えるとさつきは悲鳴をあげてよろめくと突進する方向がずれてナイフがミハイルへと突き刺さった。

チコ「えっ!?」

一瞬のことで止める間もなくチコは茫然としていた。

しかし、ミハイルの身体からは血の一滴もこぼれない。

さつき「っ!?」

ナイフは身体に刺さらず、腋で挟み受け止められていた。

ミハイル「なぜ僕を刺そうとする」

さつき「い、いえ、これは違っ……」

想定外のことが起きたといわんばかりの表情でさつきは逃げようとした。

ミハイル「よく化けた!刺そうとして近づいた時、感じた臭いはけもの臭い妖怪そのものだ!」

ナイフを奪い取ると少女に化けていたものの胸に突き立て返した。

『う、おぉぉっ!』

デロンッと皮膚が溶け醜い化物の姿を現したがボンッと破裂音と同時に霧散した。

モファンスキー『殺気!』

チコ「さっき?ああ!さつきじゃなくて殺気って名前の化け物だったんですか!って……ということは」

ミハイル「なるほど、貴様も仲間か」

殺気を刺殺したナイフをモファンスキーに向ける。妖怪を殺したものなのだから別の妖怪にも効果があるに決まっている。

そして、もともと捕えているのでモファンスキーは動けなくなっているので抵抗もできない。

モファンスキー『わーー!違うんだ!わがはいは王族の肝を食えば不老不死になれると聞きつけた殺気の手伝えといわれただけなんだ!助けてくれ!』

ミハイル「去ね」

キャッチャーの電源を落とすと、モファンスキーは姿を消した。すぐにこの国から出ていくことだろう。

チコ「あー……びっくりした。」

ミハイル「やれやれだ。しかし、どうしてわが国ではこういうわけのわからない事件が起きるのかなぁ。」

チコ「そりゃ国王が国王ですから。」
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