ー日常ー街の住人達

ー池袋:西口公園ー

独「…………あの」
じゅぅぅぅ…

久良三「ええと、うっは30度超え余裕だって。あっついわけだよ」

独「…………」
じゅぅぅぅ…

久良三「ところで何か言いかけた?」

独「……なんで俺はイカを焼かされてるんです?」

久良三「バイトだよ」

独「なんで?!いつの間に!どうして!」

久良三「暇だろ?」

独「……まぁ、暇ですね。」

久良三「だからだよ」

独「なるほど……いやいや、なるほどじゃない。丸めこまれないぞ!」

久良三「あ?」

独「あ、いえ……あのですね」

久良三「ぶっちゃけ暑いじゃん」

独「えぇ、コンロの火が死ぬほど顔をいぶしてくれてます」

久良三「夏は沖縄とかでゆっくり船でも出して過ごしたいんだよね。」

独「いいですねぇ。」

久良三「それの旅費稼ぎの一環がソレ。」

独「へー……えっ?!沖縄連れてってくれるんですか?」

久良三「いや、俺が行くの。お前には売り上げの10%やるよ。バイト料として」

独「ひでぇ」

久良三「タダで面倒見てやってるんだからこういうときに恩を返しなさいってことだ」

独「えぇ……」

久良三「あ?」

独「いや……でも、ひとついいですか?」

久良三「なに?」

独「普通……冷たいもの売りませんか?かき氷とか……イカ焼きは今の時期、好んで買う人少ない気がするんですけど」

久良三「だろうね」

独「だろうね?!」

久良三「それ、借り物でね。とりあえず祭りまでは好きにしていいからってことで試してみたんだ。」

独「借り物って……このイカとかも?」

久良三「もちろんタダ。だから儲けが出たら全部ポッケに入るんだけど……まぁ、たいして出るわけもないからとりあえず無料の人材に働かせて様子見てるんだ」

緋斗「無料の人材って……」

久良三「お前」

緋斗「ひでぇ!」

久良三「そうでもないって」

緋斗「まるでヤクザだ!あ、ヤクザだ!」

久良三「……本当にきつい辛くて苦しい仕事させてやろうか?」

独「勘弁してください…」

久良三「まぁ、そんなアテもないんだけどね。クリーンなヤクザだし」

緋斗「……」

久良三「でも、どうしてもっていうなら……半日椅子に座ってるだけでかなり儲かるバイトがあるけど」

緋斗「絶対に嫌です」

久良三「あ、なら配達のバイトならどうだ?物を運んで金を受け取って帰ってくるだけ」

緋斗「ナニを運んでるんです」

久良三「……」

緋斗「そんな怪しい仕事もお断りです」

久良三「だったら、イカ売れイカ。いい感じに売れたらご褒美くらいをやるから」

緋斗「ちょ、どこ行くんですか!」

久良三「屋外は暑い。夕方まで喫茶店でも行って来る」

独「鬼ー!悪魔ー!」
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