ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「何が起きるかわからない!危険すぎる!そいつを捕まえよう!向こうは自分の正体がバレたことを知らないということは明日も蕎麦屋に現れるはず!宇宙人がエメラダにゃってきたとてうことはどこかにスターシップを隠しているはずだ!」

メルセデス星人「でしょうね。自分で飛んできたとは思えませんから。」

ミハイル「MC、それを探し出して明日攻撃しろ!命中させる必要はない!脅かしだけで十分だ!」

MC【ナゼ、ソノヨウナコトヲ?】

ミハイル「姿を変えていたら誰が宇宙人かわからない!しかし自分のシップが攻撃されたらなんらかの反応を示すだろう!」

MC【ナルホドぐっどあいでぃあ】

ミハイル「食い逃げも立派な犯罪だ!エメラダで勝手なことやってる変身宇宙人め!許してなるものか!」


そして次の日、神田屋でミハイルとチコが客のふりをして席についていた。

チコ「私たちの他にお客さんは三人ですね。」

ひとりは丸坊主の青年たべているのは天丼、ひとりはスーツ姿の髭の中年、こちらは月見そば、そして最後のひとりは小太り気味の目が目の青年で食べているのはかつ丼の大盛だ。

ミハイル「しかし、そのうち蕎麦を食べているのは、あのヒゲのオジさんだけで、あとの二人はドンブリを食べてるな。」

チコ「オジさんが変身宇宙人でしょうか?」

ミハイル「わからん。確かめてみよう、MC、攻撃開始。」

殿下はスマホを捜査してMCに命令すると宮殿から小型のミサイルが発射されて宇宙人のシップ近くに着弾した。

すると髭のおじさんはバッと立ち上がった。どうやらシップからの危険信号を探知したようだ。

つまり、こいつが変身宇宙人だ。ミハイルとチコが捕まえようとすると。

『!!』

変身宇宙人は背中を羽に変身させ飛びたとうとした。

ミハイル「甘い!!」

懐から取り出したパラライザー(麻痺光線銃)を浴びせると変身が解けて地面へ落下した。その姿は……なんというか人型の豆腐の塊みたいな宇宙人だ。

『!!?』

ミハイル「正体はのっぺらぼうみたいなやつだな。なぜ食い逃げしてたんだ。納得できる説明ができなければこの場で殺す。」

『!!!』

ミハイル「むっ、テレパシーか。ふむふむ、ザギ?ああ地球のテレビみたいなものか、ザギの企画で若手芸人が十数名地球にやってきて貴重なそばを何日続けて食い逃げできるかを競うバラエティー番組?」

千古「はぁっ?」

ミハイル「わけのわからんことをやってるなぁ。何人ぐらい来てるんだ?」

『!!』

ミハイル「50人ぐらい?エメラダにはおまえひとり?ヨーロッパとアメリカの蕎麦屋に10人日本に40人ほど」

チコ「トップになったらなにかもらえるの?えっ、賞品が出る?」

ミハイル「その賞品をくれるなら勝たせてやるが、どうだ」

『!!!』

ミハイル「よし、話は決まった。」

というわけで、なあなあの食い逃げが始まりました。メルセデス星人が本気で追いかけても捕まえられなかったのに、まるで本気を出さなかったので当然のようにエメラダの変身宇宙人が勝ち進み三週間目にみごとに優勝。宇宙人は賞品を置いて大喜びで帰っていきました。

ミハイル「きれいな鉱石だ。彼らの星では10万円程度らしいがカットして宝石として売れば数億円にはなる。大儲けだぞ。」

チコ「食い逃げ犯は許されないのでは?」

ミハイル「儲かれば話は別だ。」

チコ「宇宙人は変身しましたが殿下は変わり身が早いですね。」
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