ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:マルカンスーパー近くー

次の日、おマリはまた、お熊さんにおつかいを頼まれてスーパーポップに向かっていました。

マリア「よかった。今度は雑誌じゃない。雑誌ではこりてるからなぁ。夕飯の賄い用の材料か、えーとまずシャンプー…………シャンプー!?間違いなく賄いの材料と書いてあるけど…シャンプーの次がカビキラー、単三電池が四本、床用ワックスにキャットフード……かろうじて食べられそうなのはキャットフードだけだ。どんな料理ができるんだろう……。」

などと考えながらマルカンスーパーの前を通りかかったとき。

少女「……」

視界の端に見覚えある顔をとらえた。

マリア「あれっ、あの子はたしか松本さんの…」

昨日は熱で横になっていたが元気になったようだ。マルカンのテナントでやっている花屋の前をウロウロしている。

誰かと待ち合わせでもしているのかあたりをキョロキョロとうかがっていたと思うと花を一輪手に取ってその場から走り去った。

つまり……万引きである。

とっさに、マリアも駆けだそうとしたが、店の中から巨体が飛びした。

マルカン店長「こりゃーーっ!!隠れて見張っとたんだ!現行犯だ!」

体格のわりに素早く、松本さんの娘さんは捕まってしまった。

少女「きゃっ!」

マルカン店長「こんなちびっこいのが万引きとは世も末だわい!どこの子だ!白状せいっ!」

一部始終を見てしまったマリアは大慌てでスーパーポップへと駆けこんだ。店長と松本さんらに事の次第を説明した。

マリア「大変ですーー!」

店長「なんだって!?」

松本「ええっうちの子が!?」


~~


すぐに三人でマルカンに飛んでいき、マルカン店長とバックヤードで話をすることになった。
娘さんは椅子にかけてうなだれている。

マルカン店長「こいつは傑作だ!花一本でも盗めば立派な犯罪!防犯W―メンの子供が万引きとはな!」

松本「どうしてこんなことを!」

少女「あ、明日、ママの誕生日だから…でも、お金なくて…」

「「「……」」」

悲しき真実、想いは痛いほど分かる。だが、犯罪は犯罪なのだ。

スーパーポップの店長が口を開いた。

店長「マルカンさん、その子のやったことはもちろん悪い。しかし聞いての通り母親を思ってのことでもあるし……ここはひとつ穏便に」

マルカン店長「ふざけるな!その女のせいでうちの被害がどれだけ増えたと思ってるんだ!」

店長「優秀な防犯係を警戒して万引きがうちから君の所へ流れたのは彼女のせいでは……」

マルカンの店長はフンッと鼻を鳴らした。
29/100ページ
スキ