ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:スーパーポップー

アラファト家政婦派遣協会の近くにあるスーパーにマリアは来ていました。

マリア「えーと、お熊さんに頼まれたのは雑誌が三冊、アンアンにノンノとザ・ロード……じゃない、よく見るとアソアソにノソノだ。こんな雑誌があるとは知らなかったなぁ。」

本人が女性の類似品だから雑誌も類似品が好きなんだろうかと口が裂けても絶対に言えないことを飲み込んで雑誌コーナーへと向かった。

三冊のうち二冊、ザ・ロードとアソアソはあったがノソノというのが見つからない。見つかった雑誌を小脇に挟んで近くにいた店員にノソノのことを聞いてみたが……。

店員「すいません、売り切れです。」

マリア「あちゃーどうしよう。駅前の大きな本屋ならあるかな」

そういいながら店を出た。駅前へ向かって歩みを進めること数歩、背後から声をかけられる。

「ちょっとお嬢ちゃん」

マリア「はい?」

振り返るとレディスーツを着た女性がいた。

女性「その雑誌、レジを通してないわよね。」

マリア「……!!?ちっ、違うんです!お熊さんに三冊頼まれて一冊はあったけど、もう一冊を別の本屋でそれに気を取られて!わざとじゃないんです!」

そう、小脇に挟んだまま店を出てしまっていたのだ。

女性「嘘ではないようね。ちゃんとお金を払いに戻ってね。それて次からは気を付けるのよ。」



~~


マリア「ということがあったんですよ。」

アラファト家政婦派遣協会にもどって一連のことを話した。

おばちゃん「危なかったわね。」

家政婦「万引きの現行犯で捕まっても文句は言えないところよ。」

マリア「レジの店員さんの話では、その女のひと松本さんというですが防犯Wーメンだそうです。」

おばちゃん「ぼーはんうーめん?初耳ね」

マリア「私も初耳でした。なんでも、万引きを取り締まる万引きGメンというのがありますがそれだと固いし女性なので、あの店では防犯Wーメンと呼んでるそうです。」

家政婦「ひとりならメンじゃなくてWーマンじゃないかしら」

マリア「Gメンにひっかけてるから、いいんじゃないですか。」

おばちゃん「そういえば万引きって言葉はどこから来てるのかしら」

マリア「さあ」

お熊「品物を間引くから「間引(まび)き」、あるいは万(よろず)を(なんでも)引く(盗む)から万引きといろいろ説はあるみたいね。」

おばちゃん「さすがはお熊博学ね」

お熊「つまらない雑学よ。でも、そういう立場ならおマリちゃんを捕まえて成績を上げようとしても無理はないのに、おマリちゃんの言うことを信じて見逃してくれるなんて、よほどできた女(ひと)だと思うわ」

マリア「同感です。明日改めてお礼に行ってきます」

お熊「それがいいわ。」
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