ー日常ー街の住人達【8】

ーホテル:よど屋ー

ムーン2「仲間の話では、殿下はもう犯人の目星がついているそうですが、本当なんですか?」

ミハイル「まぁな。宿帳は調べたんだろうな、厚着の客の名前は?」

ムーン2「W=D=マレフィセント」

ミハイル「ウォルト=ディズニー=マレフィセント?ふざけた名前だ」

ムーン2「われわれもそう感じましたが、でも客はちゃんとフロントにパスポートを提示しましたよ。」

ミハイル「ニセモノに決まってる。部屋を見るぞ」

事件が起きた部屋の前まで移動すると少し遅れてきたチコが殿下に近づていった。

チコ「キーを預かってきました。」

ミハイル「いやいい」

差し出したキーを受け取らずに部屋の前を調べ始める。

チコ「中をご覧にならないので?」

ミハイル「犯行は外から行われたのだ。中に入ってもしょうがない。ああ、そうだ高官はエメラダからどこへ行くつもりだったんだ?」

ムーン2「ウクライナ行きのチケットを持っていました」

ミハイル「ウクライナ……最終目的地とは考えにくいな……。ロシアか。政府のようならロシアまで直行便がある。それなのにわざわざエメラダを経由するということはもしかしたらエメラダの前にあちこち飛び回ったのかもしれない。素早く移動することで足跡を追いにくくするためだ。」

チコ「なぜそんなことを?」

ミハイル「S国はむずかしい国だ足の引っ張り合いで、いつ失脚するかわからない高官も何かやらかしてロシアに亡命するために逃げ出したんじゃないか。しかし、ここに来てとうとうおってに捕まった」

チコ「なるほど事件の背景にはそういう事があったのかもしれませんが、密室殺人はどうなります、消えた弾丸の謎は?」

ミハイル「ドアの下を見ろわずかな隙間がある。」

言われてみてみると確かに数センチほどの隙間が空いていた。

チコ「たしか、あまりピッタリしてるとドアにジュウタンがすれてしまうからですわよね。あと、ここから新聞を差し込んだりできる」

ミハイル「そうだ。朝ボーイが新聞を置く、それを外から引っ張ってカサカサと音を立てると中にいるのは追われてる人間だ。なにごとだ誰がなにをやってるんだと気になって、床に頭をつけてドアの下から外をのぞこうとする。」

チコ「ドアを開けずに?」

ミハイル「いきなり撃たれちゃかなわんから用心してドアの側には立たないものだ。」

チコ「なるほど」

ミハイル「犯人も隙間を覗いてターゲットの顔が見えた途端、隙間から撃ったのだ」
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