ー日常ー街の住人達【8】

ー中学校:保健室ー

少しするとケガをしたと連絡を受けたみきおの母親が飛び込んできた。

鬼河原「みきおーー!みきおが刺されたって!」

マリア「大丈夫です、かすり傷です。」

鬼河原「無事でよかったー!」

マリア「本当にぼっちゃまのことを心配なさってるんですね。」

鬼河原「あたりまえでしょ!母親なんだから!」

みきお「ありがとう母さん。」

鬼河原「えっ?」

みきお「僕のために頑張ってくれて、でも、もういいんだ。」

鬼河原「えっ、何が…」

みきお「一生懸命勉強して奨学金をもらって上の学校に行く大学を卒業したら頑張って働くから、もう、僕のために無理をして稼いだり、お金を貯めようとしなくていいんだ。」

鬼河原「なにを……なにを言ってるの!世の中なにが起こるかわからないのよ!いざというとき、頼りになるのはお金しかないのよ!だからあなたのために必死で……!」

みきお「ううん、なにがあっても大丈夫だって、僕にはたくさんのたくさんの友達がいるから!だから、もう無理しなくていい、もとのお母さんに戻って」

鬼河原婦人はその場にへたり込んだ。

マリア「奥様!?」

鬼河原「気が…抜けたわ…これからもずっとお金のために肩ひじ張って生きなくちゃならないかと思うと…正直言ってしんどかった…本当はつらかった…」

みきお「そんな生活はもうおしまいだよ」

鬼河原「みきおぉぉーー!」

ぼっちゃまを抱きしめて号泣している。

マリア「よかった…」

こちらもホッとしているとみきおに手招きされた。こそこそと耳打ちしてくる。

みきお「(どうやったの?)」

マリア「(は?)」

みきお「(みんなの声をぼくの心に聞かせるなんてさ超能力か何か?どっちにしてもありがとう君のおかげでみんなの仲間に戻れるよ。)」


~~


あれからずいぶんとおとなしくなった鬼河原家は元通りおトラが担当することになり、マリアは家政婦協会で今回起こったことをお熊に話した。

マリア「ということがあったんです。」

お熊「あなたも?」

マリア「あなたもとは?」

お熊「……」

お熊がこたつの上に置かれている容器に手を伸ばすと中に入っていたお菓子が浮き上がりだした。

マリア「面白いマジックですね。」

お熊「マジックじゃないわ。本物の念動力(サイコキネシス)よ。」

マリア「えっ?」

お熊「どうやら、お互い怪奇の集まるビストロで過ごすうちに、不思議な力が身についたようね。あたしは念動力、あなたは人間の心に関する能力。前回のお仕事の時の一軒もあなたの力が昔の夢を見させて、それで丸く収まったんじゃないかしら。これこそギフト(神様からの贈り物)よ。大切に使わなくちゃね。」

マリア「はぁ」

なんだか実感のわかないおマリ、2人の活躍は続きます。
22/100ページ
スキ