ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:アラファト家政婦派遣協会ー

おトラ「それからぼっちゃんが学校で禁止されている携帯電話を持っていったの。見つかって没収されたら今度は奥様、電話でなく自分で学校にどなりこんでいったわ。」

マリア「えっ、でもあきらかに校則違反でしょう?」

おトラ「そこじゃなくて没収されてるあいだは使用できなかったんだから、その分の基本使用料を払えということで」

マリア「えぇっ?!」

おトラ「結局、学校にいくらか払わせたみたい」

マリア「すごいですね。」

お熊「まさしくモンスターペアレンツね」

マリア「モンスターハンター?」

お熊「ペアレンツ」

マリア「なんですかそれ?」

お熊「いるのよ。自分のことだけ考えてわけのわからない権利を主張するとんでもない親たちが。」

マリア「へぇ」

お熊「卒業アルバムにのってる回数が他の子より少ないからって、アルバムを作り直させるとか選手に選ばれなかったから運動会を休ませるとか心配だから子供の様子を一時間ごとにメールしろと先生に強要したりとか」

マリア「うわお」

お熊「はなはだしきは子供が石で窓ガラスを割ったのは校庭に石を放置しておいた学校が悪いとクレームをつけてきてクレームのためにパートを休んだから一日分のパート代を払えと学校に請求書を送りつけたりとかね。」

マリア「無茶苦茶だなぁ。」

おトラ「お熊ちゃんよく知ってるわね。」

お熊「雑誌の特集記事で読んだのよ」

手にしている雑誌はザ・ロード、悠がコラムを書いている若者向けのファッション雑誌だ。表紙の書き出しには今のおススメファッションと一緒に今学校が危ない!の見出しがかかれている。

マリア「なんでファッション雑誌にそんな特集が載ってるんですかね。」

お熊「さぁ、なんでかしらね。」

マリア「しかしつ、私はもう両親ともいないけど親がいたらいたで大変なのかもしれないなぁ。」


そして、次の日……


何とか家事をこなしているとテーブルに置かれた一枚の紙が目に入った。手に取ってみてみると学校の書類のようだ。

鬼河原「ちょっと手が止まってるわよ!」

マリア「いえ、どうやらぼっちゃまが忘れていった学校の書類、今日が提出期限です。届けましょうか」

鬼河原「届ける!?うちが給料を払ってるあなたがどうして学校のために働くの!担任に取りに来させなさい!」

マリア「無茶苦茶ですってば!届けてきますすぐに帰りますから!」
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