ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:アラファト家政婦派遣協会ー

マリア「……」

仕事の最中だが家政婦協会の談話室でぶったおれていた。

お熊「あら、おマリちゃんどうしてここに」

マリア「お使いの途中で寄らせてもらったんです。」

お熊「あら、なにかあったの?」

マリア「ひっきりなしに用を言いつけられて休む暇もないので少し仮眠させてもらおうかと……」

お熊「おマリちゃんがダウンするなんて聞きしにまさる職場らしいわね。」

年季こそはいってはなく年端もいかないマリアは超がつくほど一流の家政婦。なおかつお金が払われるならよほどでない限り自分から疲れたので少し休みたいなどは言わないはずだった。

家政婦A「それなら、コタツで寝なさい。仮眠室はおトラが居るから。」

マリア「えっ?」

家政婦A「ひとり暮らしで大変だろうからつれてきたの。」

家政婦B「ここならあたしたちが面倒みれるからね。」

マリア「そうですか……ちょっとお話してきても?」

家政婦A「今なら起きてるからいいんじゃないかしら。」

それを聞いてお熊さんと一緒に仮眠室へと向かった。

マリア「おトラさん」

おトラ「ああ、おマリちゃん」

ここでは年長組に入るおトラさんは歳のわりに普段ははきはきと元気なのだが、今はやはり顔色が良くない。

マリア「おかげんどうですか?」

おトラ「大丈夫よ。それよりもあたしの代わりをやってくれてるんですってね。申し訳ないわね。」

マリア「いえ、まあ仕事ですから」

申し訳なさそうな顔になるおトラとアレは身体を壊しても仕方ないという顔になるおマリ。しつこいようだがおトラもおマリも家政婦としてはプロフェッショナルだ。

お熊がいった。

お熊「そんなに大変なお宅なの?」

マリア「毎朝、担任がぼっちゃまを迎えに来るようなたいへんなお宅です。」

お熊「えっなぜ?」

おトラ「言っちゃあなんだけど奥様はガメついというか、シブちんというのか……給食費もPTA会費も払わないの。それで担任として誠意を見せれば払ってもらえるんじゃないかと毎朝、お迎えに来てるらしいんだけど……。」

マリア「そんな程度でお宝を出す玉ではないと。」

お熊「まぁ…」

おトラ「以前、遠足があった時ぼっちゃんがお弁当を持っていくことになって、そしたら奥様が起こってねお弁当ひとつ作るにも余計なお金がかかる。なぜ、無駄な出費をさせるんだと、三時間も電話でがなりたてたら……学校がお弁当を用意したわ。」

マリア「給食費も払わないのに……。」
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