ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「なんだとーーっ!?探偵ミハちゃんの血が騒いだ僕の子孫が名探偵を気取って二百年後の未来から事件を解決しているというのか!」

MC【恐らく】

ミハイル「僕の子孫ならきっとしつこい!」

チコ「ということは……」

案の定

ムーン1「殿下、殺人事件です!もう解決しました!」

ムーン2「事件です!なんとも難しい事件ですでも解決しました!もう解決済みです!」

ミハイル「僕の出番がなーい!探偵として活躍ではなくてイライラするー!!どうしたらいいんだーー!あっ、そうだ!」

なにかを思いついたらしく殿下はその日から自室にこもりだした。

ムーン1「殿下は何を始めたんだ?」

チコ「さぁ」

食事とトイレ以外は部屋にこもりっぱなしになって三日後、ようやく出てくると手には一冊の本を携えていた。

ミハイル「よし、ミステリーを書き上げたぞ。」

チコ「ミステリー!?」

ミハイル「セバスチャン=ジャブリゾという作家が書いた「シンデレラの罠」というさくひんがある。これはひとりの人間が探偵で犯人で被害者で更に目撃者、つまり一人四役のミステリーなのだ。」

チコ「一人四役!?そんなストーリーが成立するんですか?」

ミハイル「僕も以前さらっと読んだ時はなんとなく成立してるように感じたが、どうしてこうなるんだ。なぜ探偵が犯人で被害者でもありうるんだ時になって、なんと2カ月もかけて何度も何度も読み返したが結局意味不明だった。おそらく漠然と成立しているように感じさせる何らかのトリックが隠されてるんだろう。」

チコ「はぁ…」

ミハイル「同じ手法で僕が書いたのがこま「シンデレラの縄」一人の人間が探偵で犯人で被害者で目撃者で角の魚屋で医者でベビーシッターでさらに大統領なのだ。」

チコ「はあっ!?」

ミハイル「二百年後にも宮殿の様子はほとんど変わってないだろう。タイムカプセルにこれを入れて庭の土に埋めて。二百年後に自動的に飛び出すようにしておく。すると子孫がみつけて、おっ新しいミステリーだと読み始める。」

チコ「ふんふん」

ミハイル「最初は面白いんだがだんだん意味不明になってきてどうしてこういう事になるんだと、僕の経験からして2年ぐらいは読んでるはずだ。読んでる間は探偵ごっこどころじゃない。ぼくの邪魔をしなくなるからこれから2年は僕はまた探偵ミハちゃんとして活躍できる。」

チコ「二年活躍してそれからは?」

ミハイル「先のことは知らんわい」

チコ「うーん今回のお話はエピソードとして成立しているのかしていないのか……」
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