ー日常ー街の住人達【8】

ー東京:アラファト家政婦派遣協会ー

東京のど真ん中にあるアラファト家政婦派遣協会。

マリア「……」

番頭「おや、マリア」

マリア「また、お世話になります。よろしくー。」

おばさん「出もどったわねぇ」

マリア「出戻りましたねぇ」

おばちゃん「麻布だか広尾だかでお熊と商売やってたんじゃないの?」

マリア「ひと旗あげようとふたりでお店を始めたんですが最終的に怪奇が集まらなくなって潰れちゃったんです。」

おばさん「わからないけど」

マリア「はははっ……ですよね。」

夢前マリアは少女です。

しかしお父さんが残した莫大な借金(百億円)を返済するために働かなくてはならないのです。

おばさん「百億ってムチャクチャな額よね。」

おばちゃん「月々いくら返済してるの?」

マリア「十万円」

おばさん「毎月十万円で百億円返すのに何年かかるのよ…」

マリア「ざっと一万五千年。冗談みたいですがほんとの話なんです。いくらかでも間は不良債権にしなくてすむので銀行も都合がイイらしいです。」

おばさん「一万五千年たったら人類は滅亡してるんじゃないかしら。」

マリア「そういう心配は一万五千年後にしましょう。ところでお熊さんは?」

おばちゃん「彼女も出戻って番頭さんの手伝いしてるわ。」

お熊「あーあ。あら、マリアちゃん」

噂をしているとお熊さんが顔を出した。やはり、彼女も落ち込んでいるのか少し元気がない。

マリア「どーもー」

お熊「また地道な家政婦稼業で稼ぐことになったわね。」

マリア「まあ本業でがんばりましょう。」

お熊「ちょうどよかった。おマリちゃん半端な仕事だけどいってくれる?」

マリア「はい、喜んで!」

お熊「お葬式のお手伝いよ」

マリア「出戻って最初の仕事がお葬式ですか今後の人生を象徴している気がする。」

お熊「なに哲学的なこといってんの黒い服を着ていってね。」

マリアは共有の衣装室に向かって黒い服を探してみるが……。

マリア「私のサイズの黒い服なんてないなぁ……しかも黒い腕章もない困ったなぁ。」

仕方がないので食堂にあった焼きのりを巻いて派遣先に向かいました。道中、渡された資料に目を通す。

品川商事社長、本丸炎上さん享年63歳。そんなお年でもないのに……しかし、たしかに本丸が炎上したらただではすまない。

などとわけのわからないことを言いながら青山の本丸家へと向かいました。
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