ー日常ー街の住人達【8】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ある日のエメラダ国、すでに夜のとばりが降りてミハイルは眠りについている最中、ドッカンと巨大な物体が落下したような破壊音が宮殿に響いた。

ミハイル「……なんだ今の音は」

意地汚さと守銭奴、そして一度眠り始めたら満足するまで起きないことに定評のあるミハイルでもさすがに目を覚ますほどの音と衝撃だった。

間をおかずドアがノックされた。

チコ「殿下たいへんです!宮殿に宇宙船が落下しました!」

ミハイル「なんだ宇宙人か。しばらく宇宙人は来なかったのに……。あんまりかかわりたくない。よほど凶悪な奴だったら話は別だが基本的にほっといていいんじゃないか」

チコ「それが……」

ミハイル「は?」

チコ「宇宙船を調べたら誰も乗っていないんです。」

ミハイル「えっ、ということは……」

チコ「もしかしたら、もう宮殿の中にいるのでは……」

ミハイル「ええっ?エメラダにウジャウジャいるような普通の宇宙人ならほっといてもいいと思ったがわけのわからん奴がウロウロしているかもしれないとなるとなんだか不気味だな」

チコ「ですね」

ミハイル「ムーン隊をフルに使って探せ」

チコ「ははっ」


~~


ムーン1「見つかりません!」

チコ「みんなで手分けして探しましたが誰もいません!」

ミハイル「どういう事だ。もしかして無人宇宙船だったんじゃないか」

ムーン1「いえ、しかしですね。宇宙船の中にですね。缶詰なんかが散らばってましたから誰か乗ってたのは間違いないと思います。」

ミハイル「宇宙人が缶詰を食うのか」

ムーン1「地球の缶詰によく似た宇宙食なのかもしれませんがそこは分かりません。」

ミハイル「ふーむ……MC、マザーコンピューター。宇宙船のことは知ってるな乗ってたやつはどうなった宮殿の中にいるのか?」

MC【すきゃんシマシタガ宮殿ノ中ニハオリマセン】

ミハイル「そうなると庭に落ちてから直接外に出ていったのかもしれないな」

MC【シカシ…】

ミハイル「MCなんだ」

MC【イエナンデモアリマセン】

ミハイル「やはり人間的に作りすぎたかなぁ。おかしな奴だ。新人の宇宙人ならエメラダ銀座の宇宙人協会に顔を出すはずだな。協会に電話して新しく来たのがどんな奴か聞いてみろ」

ムーン1「ハッ」

それから一時間たち、二時間たっても連絡が来ない。

ミハイル「遅いなぁ。」
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