ー日常ー街の住人達【7】

ー異空間ー

ダイオキ神「慈善家!?そいつが!?冗談じゃない!今まで交渉してきて、そいつの本質はわかってる自分さえ儲かればいいという金の亡者の守銭奴だ!」

マリア「お前もな」

ダイオキ神「神様にため口を聞くな!!」

ボランティア神「聞き捨てならんことを言ったな。わしがこの少女の本質を見誤っていると?わしの目が節穴だというのか?」

ダイオキ神「ぐっ」

転太「節穴なんですがな」

お熊「しっ」

ボランティア神「さぁ少女よ。君の気高い志を述べなさい。」

マリア「はい、このガリガリ亡者のXから一千万円手に入れたら弁護神さんの手数料を差し引いて」

ボランティア神「ちょっと待った手数料ねぇ」

弁護神「ギクッ」

ボランティア神「わしはボランティアで活動しとるんじゃがなぁ。」

弁護神「あの…それでは私も今回はボランティアということに、手数料はけっこうです。」

転太「弁護神も長老には逆らえんと見える。」

お熊「なんだか気の毒ね。」

ボランティア神「まるまる手に入るぞ」

マリア「その大部分を困ってる人たちに寄付したいのです。」

ダイオキ神「ウソだ!こいつがそんなことを考える玉か!どこかで儲けようと企んでるに違いない!」

ボランティア神「だまらっしゃい!本人がはっきりと寄付するといっておるではないか!人間の言葉が信用できんで神様が務まるか!ひと助けじゃ!直ちに一千万支払うのじゃ!」

ダイオキ神「……」

弁護神「われわれがいくら交渉しても、絶対払おうとはしなかったでしょうが、あの方にああいわれては……」

転太「払わんわけにいくまいな」

マリア「(やった九百九十万儲かる!)」

ダイオキ神「それなら俺が直接寄付する!」

マリア「!?」

転太「これはどういうなりゆきじゃ!?」

お熊「守銭奴と守銭奴のぶつかり合いよ!守銭奴は他人にもうけられるのが何よりつらいのよ!Xも自分も損するけど、おマリちゃんにももうけさせない作戦に出たのよ!」

ダイオキ神「どうだ!それで文句はあるまい!」

ボランティア神「それなら少女の手間も省ける。少女、異存はないな!」

マリア「……!くっそー!痛み分けよ!X、ここに書いた20の慈善団体に50万ずつ速やかに寄付すると誓え!」

ダイオキ神「誓う!ついでのことに怪奇現象の所有権は!」

マリア「全部くれてやる!」

ボランティア神「一件落着!」

長老が手をたたくといつの間にかマリアたちは自分の店へと戻っていた。

お熊「怪奇が消えてるわ終わったみたいね。」

転太「なんともあわただしい一件落着だったな。」

マリア「えーと、あった50万円」

お熊「おマリちゃん!?」

転太「どういうことだ!」

マリア「20番目に私の名前を書いといたんです。」

転太「えっ、しかし慈善団体でも何でもないじゃないか。」

マリア「「遠い将来、慈善団体をつくる予定のマリア」と書いたんです。可能性はゼロではないから私にも寄付せざる得なかったんですよ。」

お熊「まんまんとXをだましたわけね。」

転太「気が付いた時はさぞ、はらわたが煮えくり返ったことだろう」

マリア「まあまあ、怪奇も押し付けたからもうお店で怪奇現象は起こりません。これで落ち着いて商売ができますよ。ハハハッ!」


ところが……


お熊「お客さん来ないわねぇ」

マリア「変ですねぇ。あ、常連さんたち寄ってってください!」

リーマンA「でも、怪奇がなくなったんだろ?」

マリア「えっ」

リーマンA「なにが起きるか、なにが出てくるか楽しみで毎日通ってたのに」

リーマンB「怪奇現象が起きなきゃふつうの店だもんな」

マリア「足湯があります!」

リーマンA「足湯居酒屋なら隣町にもできたんだ」

リーマンB「新しいほうに行かせてもらうよ」

お熊「なんてこと!お客さんはいつのまにか怪奇現象を楽しみにしていたの!?」

マリア「そうとは知らず、いわば目玉商品をXに押し付けてしまったんだ!Xに返してもらわなくちゃ!って、あいつが私の言うことを聞いてくれるはずがないー!やむえない!お熊さん、旅に出ましょう!」

お熊「旅に?!」

マリア「日本中さがしてどこかで怪奇を仕入れるんです!」

お熊「あーん!前途多難よー!!」


どこまでいっても怪奇現象にふりまわされるお熊とおマリの迷コンビ。これにてビストロ閉店です。
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