ー日常ー街の住人達【7】

ー東京広尾:ビストロ温泉-

弁護神「御在宅ならよろしいが」

そういって弁護神はいつものように煙になって消え去った。

転太「神様にも、となり近所の付き合いがあると見える。」

お熊「訳が分からなくなってきたわ。」

弁護神「いらっしゃいました。」

すぐに戻ってきた弁護神の隣には白い髪と髭がもじゃもじゃのまさに神様的な杖を持った老人。

ボランティア神「ボッ…ボッ…ボランティアとは!?」

マリア「ひと助け!」

ボランティア神「むっ……ひっ…ひっ…ひと助けとは!?」

マリア「無我無欲の奉仕の精神!!」

ボランティア神「むむっ!なかなかもののわかった人間のようじゃ!弁護神から聞いたが魔を封じてなんとする!」

マリア「強欲な悪い神Xから大金を入手し、そのうちわずかばかりを生活費に回させていただいて残りの大部分を困っている人々に寄付させていただきたいのです!」

ボランティア神「その言葉、偽りはあるまいな!」

ボランティア神が杖をマリアへと向けると強い光が照らした。

マリア「わっぷ!」

ボランティア神「よし、心を読んでも真実を語っておる!願いをかなえよう!」

お熊「えぇっ!?」

転太「おい、そんなはずはない!大部分を寄付するなんておマリがそんな殊勝なことを考えるものか!」

お熊「でも、心を読んだといってるわよ!」

心を読んだからこそです。

一千万円手に入れたら二百万は弁護神に手数料として払いわずかな生活費(七百九十万)を残して大部分(十万)は寄付しようと思ったのです。

守銭奴のマリアはこの配分を本気でわずかと大部分と信じていたのでボランティア神も見抜けなかったのでした。

ボランティア神「鈍蹄丸!」

部屋の真ん中に真っ黒いボーリング玉のような物体が現れた。

弁護神「おおっ、これは!」

ボランティア神「昔、天界公安委員会だった頃、犯罪を犯した邪神たちを逮捕する際、使ったものじゃ。邪神の動きを鈍くさせる働きをするもので、怪奇現象程度ならば完全に封じ込めるじゃろう。」

マリア「どうやって作動させるんです!」

ボランティア神「もう起動しておる。」

ボランティア神の言葉通り、一分もしないうちに天井から巨大な目玉から不気味な触手をいくつも生やした気味の悪い怪異が落ちてきた。

お熊「封じられた怪奇が出現したわ!すばらしい効能ですね!さすがはボランティア神!」

ボランティア神「亀の甲より年の劫!フォッフォッ!」

マリア「商売をできなくしてやったぞ!さあXめどう出るか!」
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