ー日常ー街の住人達【7】

ー東京広尾:ビストロ温泉-

前回、謎の神様Xが自分たちのお店から勝手に怪奇現象を持ちだしていることに気がついたマリアは……

マリア『怪奇現象はうちの財産!神様X対価を支払わせるべきです!』

と弁護神を雇って交渉させたのですが……。

しかし、仕入れた怪奇現象を宅配形式でデリバリーして、あとから客に法外な値段を請求するという悪どい商売をしているXこと、ひとすじ縄ではいきません。

一万年の分割払いという、とんでもない条件の契約書に、いったんはマリアがサインさせられたのですが

マリア『Xには、私を一万年生きながらせる義務が生じる!!』

と、ごねたものですから、契約は白紙にもどり、以来ずっともめています。

弁護神「ギャーギャー!」
マリア「ギャーギャー!」

お熊「あー、うっとーしい」

転太「まったくじゃ」

弁護神「仕方ないでしょう!先方は代金を払う必要はないと言い張っているのです!」

マリア「一千万だ!びた一文まからないぞ!」

お熊「平行線ね」

転太「うむ」

弁護神「代金を要求するなら怪奇現象の所有権を明確に提示しろといっています!」

マリア「一千万!」

お熊「訂正するわ。平行線じゃなくて話がまるでかみ合ってないわ。」

転太「てんでの方向に走っとるようなもんじゃ」

「「ゼェゼェ」」

お熊「まぁまぁ2人とも。ここで怒鳴りあってもらちが明かないわ。弁護神さん、いったんお引き取りください。少しおマリちゃんの頭を冷やさせますから」

弁護神「はっ、ではお言葉に甘えて……。こんな厄介な交渉は初めてだ。」

弁護神は煙のように消えていった。

転太「双方が、相手のいう事を聞かず。自分の主張を繰り返しとりゃ当然だな。」

お熊「おマリちゃん、落ち着いてそろそろ夕食にしましょう。」

マリア「一千万!一千万!」

目が$になっていて興奮状態である。

お熊「忘れてたけどおマリちゃんの本質ってコテコテの守銭奴だったのよね。」

転太「ずっと忘れていたな」

マリア「なんとか一千万円払わせる方法は」

ブッブッいいながらその場をグルグルと歩き回る。

お熊「無理やり夕食抜いちゃおうかしら」

転太「なぜ?」

お熊「人間って本当におなかがすくと食べること以外考えられなくなるのよ。食糧を断てば、お金の話から気をそらせるわ。」

転太「兵糧攻めか」

マリア「それだーーー!」
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