ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

その日から文字通りありとあらゆる薬が販売された。

毛生え薬などはいうに及ばず。

禿げ「発売元エメラダ製薬会社?ほんとにきくのかなぁ。」

薬を一粒飲むと髪の毛、眉毛、ヒゲがもっじゃもじゃとなり。

テストでいい成績をとる薬を飲む学生がいれば……

学生「うわお~~!手が勝手に答えを書いてる~!」

また、スポーツに強くなる薬をのむ選手がいれば。

計測係「わーー!百メートル3秒8?!!」

そして女にモテる薬を……

男「素敵ー!」
漢「抱いてー!」
おとこ「愛してるー!」

「間違って男にモテる薬をのんじゃったー!!」

他にも……

「薬のおかげで大学に合格したー!」
「薬を飲んだら国会議員になれたぞーっ!」


などなどエメラダ製薬会社の薬は世界中で大評判になった。

しかし、そんな中で……

ミハイル「お、おい、薬売り…」

薬売り『おや、どうしました?』

ミハイル「今日で一週間寝てないのだ。休もうと思ってもまじめに仕事を続けなくちゃならんと気持ちが先に立って寝ていられない。おかげでこんなにやつれてしまった。薬の作用が強すぎるんじゃないだろうか薬の効き目を無くす薬はないのか!?」

薬売り『そんなものありませんよ。薬の効果は永久的です。』

ミハイル「そんなあ!このままじゃ身体が持たんぞ!」

ムーン1「薬屋さん。」

薬売り『はいはい』

ムーン1「ある探検家から依頼があったんですがネス湖のネッシーを捕まえられるようになる薬を……」

薬売り『90ダカットですね。』

ムーンに呼ばれて薬売りはいってしまったがミハイルは妙な動きを見逃さなかった。

ミハイル「確か今これを隠すそぶりを……」

大量に並べられているピルケースの中から薬売りが隠したものを手に取って中の薬を呑み込んだ。

そしてそのばにぶっ倒れると丸一日死んだように眠り続けた。

「……か、殿下、殿下起きてください!」

ミハイル「んあーーー!はーー、よく寝た。」

チコ「よく寝たじゃないですよ!」

ミハイル「おちつけ、こうしてスッキリした頭で考えてみると、あの薬の効き目は異常だ。あのままだと死んでいたかもしれない。僕がまじめに仕事をするなんて普通では考えられない状態だ。」

チコ「自分でよくそういうこと言えますね……。でも、確かに人間に無理をさせる薬がいいものとは思えません。」
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