ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「じゃあその電磁場のハプニングがなかったら今ごろ殿下は……」

薬売り『そういうことです』

チコ「ラッキーなハプニングでしたね」

ミハイル「やっぱり僕は運がいいんだ」

ムーン1「悪運でしょう」

余計なことを言ったムーン1はミハイルに棍棒でぶん殴られた。

薬売り『せっかく寄ったんだからこの星で少し商売をやっていこうかなぁ』

チコ「それはいいけどどんな薬があるんです?」

薬売り『何でもありますよ』

ムーン2「ハッハッ頭の良くなる薬とか?」

薬売り『50ダカットです』

ムーン2「えっ!?ちょちょっと待ってください本当にそんな薬があるんですか?!」

薬売り『この星のお金だといくらになるのかな』

ムーン1「ひょっとして人間がすごくまじめになる薬なんかありますか?」

薬売り『80ダカットです』

ムーン1「殿下!」

ミハイル「なんだ!」

ミハイルが振り向きざまに口めがけ薬を投げ込んだ。頭の悪い犬よろしく口に入ったものを警戒なく呑み込んだ。

するとどうだろう、いきなり机に向かうとバリバリと仕事を始めた。

ムーン1「わー!!信じられない!!」

ミハイル「何をしている!君たちも早く仕事に取りかかりたまえ!」

ムーン1「はいはい!」

ムーン2「わーい、これでやっとたまった書類が片付くぞ!」

それから朝が来て、夜が来てもミハイルは仕事を続けていた。

チコ「殿下がんばってますねぇ。この辺りでちょっと一休みしては如何ですか?」

ムーン1「あちらに食事の用意ができてます。」

ミハイル「時間のムダです!お茶づけと漬物で簡単に済ませますからここへもってきなさい!」

チコ「お茶とごはんは有るんですけど漬物が……」

ムーン1「少し待ってくだされば即席漬けをつくりますけど」

ミハイル「それが時間のムダだというんです野菜と糠と漬物石をもってきなさい!」

言われた通りに野菜と糠と石を持ってくるとミハイルは生野菜を齧り、糠をかきこむと頭に石を乗せて仕事を始めてしまう。

チコ「なにを……」

ミハイル「こうしておけばお腹の中で漬物になります!」

ムーン1「すばらしい、あの真面目なお姿を無くなったお父上に見せて差し上げたい。」

チコ「少し、やりすぎな気がするんですが…。」

ムーン1「しかしこういう薬を我々だけで使っていいものだろうか」

ムーン2「エメラダを通じて全世界に売りだしたらどうだろう?」

ムーン1「いかがです?」

薬売り『願ってもないことで。』

ムーン1「薬屋さんは商売ができるし人助けにもなる!よし世界中に薬を販売するぞ!」

薬売り『ホッホッホッ』
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