ー日常ー街の住人達【7】

ー某国:崖の下ー

「いたか!?」
「ちくしょう見失ったぞ!!」

頭上から怒鳴り声が聞こえたが次第に離れていく。

不幸中の幸いか…木々がクッションになり大したけがもなくロックは起きあがり辺りを見回すと岩肌に洞窟があるのを見つけた。身をかがめて中に入ると真っ暗ではあがかなり大きな空間が広がっていた。

抱えているバックから数枚ほど紙の取りだしてねじりそれにマッチで火をつけた。

ロック「列車強盗までして奪った金もこんなところじゃこの程度の役にしかたたんとは…」

ぶつぶつと愚痴をこぼしながら洞窟の奥へ奥へと進んでいくと向こう側に大きな光源か見えた。

外へと出てみたが、そこはまだ洞窟の中だった。しかし、人工的な電灯設備が整えられ南国系の大樹やガラスハウスのような建物まで建造されていた。

洞窟内でなんでこんなものが新式の植物園か?とやや警戒しながら進んでいるとガラスハウス内に二人の人影が見えた。

拳銃を取りだして相手にばれないようにしっかりと中をのぞき込む。

男「……」
女「……」

中では簡素なテーブルで二人の男女が食事をしていた。

数日にわたり逃げ続けていたロックは喉がなった。そして、他に誰もいそうにないのを確認するとドアを蹴りあけて叫んだ。

ロック「動くな!騒ぐと命は無いぞ!大人しくするんだ!!」

「「?」」

男女は拳銃を向けられて微動だにせず声も出さずロックを見つめている。

ロック「よーし、そのままおとなしくしてろよ。」

「「……」」

ロック「ここにいるのはおまえたち二人だけか?ここはなんだ植物園にしちゃ不便なところに作ったもんだ。おとなしくしてろよ。」

テーブルに近づき、スープの入った皿をひっつかむと口へと運んだ瞬間、すべてを吐きだした。口に広がるえぐみや臭み、なにかは分からないがとにかく飲めたもんじゃないぬるい液体だったのだ。

男「お腹が空いているんですか?」

女「果物でももってきましょうか?」

「どうした」

悶絶していると誰かが現れた。

「「博士」」

ロック「くっ、まだいたか」

声の先へ銃を向けると中年の白衣姿の男が居た。

ガリガリ「ぶっそうなものはしまいなされ。わしはこの研究所の主(あるじ)ガリガリというものじゃ」

ロック「ガリガリだかゴリゴリだか知らんが迂闊な真似はしない方が身のためだぜ。」

ガリガリ「察するところ今朝からラジオで騒いでおる強盗犯というのはあんたじゃな。」
73/100ページ
スキ