ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

新ムーン「3419696号なんてどうでしょう?」

ムーン1「根拠は?」

新ムーン「伯父がアデランスにつとめてるもので」

3419696(みよいくろぐろ)

ムーン1「うーん…」

新ムーン「あのーぼく現役時代の長嶋選手の大ファンだったんです。長嶋さんの背番号にちなんでつけたいんですが」

チコ「でも、3号と33号さんはもういますよ。」

新ムーン「三百三十三号はどうでしょうか」

ムーン1「あ」

ミハイル「残念だが三百三十三番は欠番になっている。」

新ムーン「ケツの番!?」

ゴッ!バキッ!ドゴッ!

ミハイル「区切って言うな」

新ムーン「も、もひわげごじゃいま゛ぜんっ」

チコ「でも、欠番なんて初めて聞きましたけど」

ミハイル「かつてムーン三百三十三号という男が居たのだ。知力体力ともズバ抜けており極めて優秀な隊員だった。しかし自分の力を過信するあまり自分こそリーダーにふさわしいといってムーン1号に挑戦したのだ。さまざまな勝負の結果一号が勝った。三百三十三号にはリーダーに必要な協調性とか人間的な温かみがかけていた。実力は有っても傲慢な男だったのだ。」

ムーン1「やがて三百三十三号はエメラダを飛び出して放浪者になった。世界中をあるいてるうちにますますひねくれていったのだろう。やがて各国の警察から追われるお尋ね者になってしまったんだ。」

チコ「まぁ…」

ムーン1「強盗やら誘拐事件やらでずいぶん世の中を騒がせたものだ。」

新ムーン「わかりました。そういうワルの番号だから欠番なんですね。」

ミハイル「そういう意味ではないんだが」

ムーン「殿下、新入りへのお言葉の代わりに三百三十三号の話をしてやってはいかがい゛す?」

ミハイル「そうだな。アレはちょうど一年ほど前……」

ムーン三百三十三号ことロック=クライマンがさる国の警察に追われて山奥へ逃げ込んだ時の事……

ロック「ハァハァハァ」

身をかがめ鬱蒼とした木々の間を駆け抜ける背後からガィンガィンッと発砲音がこだまし、すぐそばを弾丸がかすれていく恐怖。

警察A「いたぞあそこだ!」

警察B「撃て撃て!」

ロック「くそっ!しつこい連中だ!」

背後に気を取られていると、踏みしめていた地面がずるりと崩れた。木々で見づらくなっていたが崖になっていたらしく気がついた時にはクライマンは転げ落ちてしまった。
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