ー日常ー街の住人達【7】

ーリヒデル王国ー

ミハイル「とぼけるのはやめてもらおう!証拠は揃っているんだ!今日はいとこ殿を愛するミハイルとしてではなくエメラダの国王としてきたんですぞ!」

調査書類をテーブルに叩きつけて怒鳴るミハイルの迫力にアイシャも作り笑いを引っ込めた。しかし、この件に関して口は閉ざしたままだ。

アイシャ「……」

カール(?)「……」

ミハイル「エメラダのダイヤモンドは今までに何度も陰謀の対象になっている。あなたの行動がそれに関わるようなもので有ればいとこ殿でも容赦はしない。」

アイシャ「なん…!」

カール(?)「何を言ってるんだ!この人はそんなことには関係ない!」

沈黙を突き通していたカールが立ち上がって叫んだ。

アイシャ「クラーク!」

クラーク「いいじやありませんか!あんな風に思われていてはあまりにあなたがかわいそうだ!」

チコ「クラーク…」

ミハイル「やっぱりカールのお兄さんか」

クラーク「この人がどんな思いをしてるか知りもしないで!!」

ミハイル「だから説明してくれなきゃわからんだろーが!」

アイシャ「クラーク…いいのです。そうです、ミハイル…あなたが調べた通り二人はあの事件のおりに亡くなりました…」

ミハイル「なぜそれを隠したんです」

アイシャ「あの事件を起こしたのは警備隊の一部の者でした。その者たちはP・S両大国のご機嫌を取る様な父の政策に反対していたのです。どちらかの国と同盟を結んでどっちつかずの不安定な状態を脱するべきだと……でもそんなことをしたらどうなります!?片方の国と同盟を結んだらもう片方が必ず危機感を覚えてリヒデルに侵入してくるでしょう!そんなことになったら、この小さな国はいっぺんでめちゃくちゃです。小国は小国なりの生き方しかできないのです!」

ミハイル「わかりますよーくわかります。」

チコ「殿下」

ミハイル「コホン」

アイシャ「あのとき二人が死んだことが知れ渡ったら、愚か者たちが勢いづいて同盟への道を走ったでしょう。その先に何が待ち受けているかも考えずに…だからわたしは…二人が生きているように……見せかけて……ワアァァァっ!!」

気丈に振る舞い、父と旦那の二人を亡くしても国を守ろうしたアイシャ姫だったがすべて吐露すると耐えられなくなって泣き崩れてしまった。

ミハイルは陰謀がないと分かり、今回の事は全て胸の内に秘めると約束をして自国へと帰国した……。
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