ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「貴様らぁ~」

ムーン3「殿下!大変です!」

ミハイル「なにが変態だ!!」

ムーン3「大変じゃ無くて変態です!」

チコ「逆になってます」

ミハイル「それでどうしたアホ」

ムーン3「リヒデル国王がご崩御なさいましたー!」

「「「えっ」」」

冠婚葬祭のうちの「葬」。お葬式。


チコ「突然でしたね。」

ミハイル「意識不明のまま今まで持ったのが不思議なくらいだ。」

ムーン1「香典をもってきましたか?」

ミハイル「ほれ」

当然のように「ご祝儀」袋を差し出すミハイル。

ムーン1「コイツはホントに……」

チコ「こっちで用意してきました」

ムーン2「式が終わるまでしっかり見張ってよう」

騒ぎにならないように隅の方でミハイルをボコっていると険しい顔をした喪服美人が通りすぎるのが見えた。

チコ「あの方が?」

ミハイル「アイシャ姫だ」

ムーン1「さすがに表情が硬いな」

ムーン2「涙を見せないところがけなげだ」

ミハイル「おっ」

っと、ミハイルが声を漏らした。その視線の先には体格のよい喪服の男性が居る。

チコ「彼は?」

ミハイル「ご主人のカールだが……しばらく会わないうちに顔が変わった気がする。」

ムーン1「整形手術をしたからでしょう。」

ミハイル「どれ、挨拶をしてくる。」

ムーン1「じゃあ、自分はお花を捧げてきます。」

ミハイル「カール君」

カール「あ…ミハイル殿下」

ミハイル「義理のいとこに殿下は余計だよ。天気も良くていいお葬式だねえ。磨を調べたら今日は大安だそうで実におめでたい。ハハハッ」

チコ「……」

ミハイルの後頭部にトンカチの一撃を叩きこんだ。

ミハイル「こ、こほん、いやいや、それはそうと結婚式ではつまらない歌をきかせてしまって失礼した。」

カール「えっあっ……いやあ、すばらしい歌声だったよ。僕なんか感動して聞きほれてしまった」

チコ「えっ?」

ミハイル「そうかあ?」

カール「君が歌った歌のタイトルは何ていったっけね。愛あればこそ…」

ミハイル「……」

カール「じゃなくてここに幸あり…」

ミハイル「…………」

カール「でもなくて…」

ミハイル「夫婦船」

カール「そうだった!しぶいのどに思わず聞きほれてしまったよ」

アイシャ「あなた」

カール「あっ、ちょっと失礼する。」

アイシャ姫に呼ばれていってしまったカール。
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