ー日常ー街の住人達

ー居酒屋:三日月ー

凛「いらっしゃいませ」

拳二「まずはここだよなぁ」

崇「お前のまずはがなんなのかは知らないけどな」

寅「むしろ、酒があったらなんでもいいようにも思える。最悪ワンカップ酒を買って即飲みだしそうな感じだろ」

拳二「お前らなぁ……奢られる立場なのわかってんのか?」

凛「ふふっ、なんにしましょうか。」

拳二「ビールを瓶で三つと適当に何かツマミもん見繕ってくんな」

凛「はい。わかりました」

寅「それで……徳田新の正体ってなんだ?」

崇「……」

寅「悠の用心棒ってオチじゃないだろうな」

拳二「悠の女ってオチじゃねーの?」

崇「それはオチでも何でもないだろ」

寅「なんだ、まだだったのか?」

崇「そこまでは知らん俺の管轄外だ」

拳二「お前に女の管理をされ出したら悠も終わりだろうな。っーか、世話してもらいてぇの間違いじゃね?」

崇「悠に女の世話?それこそ不要だろ。あいつの周りほどいい女がいれ食いな所はない」

拳二「あぁ、なるほどなぁ。確かにそりゃそうだ。本人はアレだが……」

寅「いや、そんな話はどうでもいい。」

崇「くくっ、せっかちなヤツだな。」

寅「普通だよ。むしろ気は長い方だ」

拳二「それはねぇわ……。」

寅「なんだと!」

拳二「ほら、すぐ怒る」

寅「ふんっ」

崇「まぁいい……徳田新は徳河詠美と関係がある」

寅「関係?徳河の令嬢と?」

拳二「誰だよ」

崇「あの学園のうえの方にいる女だ。徳田新はいれ込んでるらしいぞ。」

拳二「いれ込んでるってレズかぁ!?」

寅「……」

崇「……」

拳二「おい、なんじゃい。その目は」

崇「……悠はがりゅーを連れて来るかな」

拳二「おい、露骨に無視して話題変えんなよ」

寅「がりゅーってあの九頭竜の関係者だろ」

崇「関係者だが……それ以上に、悠の女だ」

寅「またそれか!」

崇「くくっ、なかなか見込みがある女だぞ。秋宵月の次にな」

寅「ガキと比べるってどうなんだ……」

崇「秋宵月は確かにガキだが、その辺りの有象無象の数百倍の価値がある」

拳二「崇、お前やたらあのお嬢ちゃんの事を気にいってるな」

崇「俺の推しメンというやつさ」

寅「アイドルかなんかか…」

崇「面白いから間違いじゃないな。特に悠の醜態が見れて」

寅「そっちかよ……俺はどうもそういうのは好きになれない。愛だのなんだの、腑抜けの素だ」

崇「くくっ」

寅「……なんだ?」

崇「確かに愛はひとを弱くする。だがな……ひとを無敵にするのも、また愛なんだぞ。」

寅「は、はぁ?」

崇「がりゅーという女が、それを体現している。だから、あながち間違いじゃないと俺は思った、それだけだ」
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