ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

冠婚葬祭のうちの「婚」いわずとしれた結婚。

去年の事

ミハイル「ネクタイ!ネクタイはどこだ!」

ムーン1「はい!」

ミハイル「式に間に合わないじゃないか!なんだってもっと早く起こさない!」

ムーン1「何回起こしたと思ってるんです!」

ミハイル「しかしリヒデルの老国王も大変だな。リヒデルは凄く小さい国で、敵対する2つの大国に挟まれているんだ。P国、S国のごきげんをバランスよくとっておかないと、あっという間に攻め込まれて占領されてしまう。さぞかし気苦労も多いだろう。」

ムーン1「それでごまかしたつもりですか!時間がないんですよ!」

ミハイル「はっ、そうだった!腕章をつけて、おい、そこの袋にお金を入れといてくれ!」

言われてムーン2がご祝儀を入れようとしたら袋にはお餞別の文字…。

ムーン2「なんですこれは!またあ!」

ミハイル「ん?」

ムーン1「しかも黒い腕章をつけてどうするんです!」

ミハイル「どこかいかんか!?ちゃんと線香と数珠も持ったぞ!」

ムーン1「これから結婚式に行くんですよ!わかってるんですか!!

ミハイル「えっ、あっ、そうか!いやぁ、僕としたことが勘違いしてしまった待っててくれ着替えてくる!」

「「まったく」」

ミハイル「さぁ、いこうか!」

どっから出してきたのか経帷子、紙冠、頭陀袋に数珠。死に装束である。

「「アホかーー!!」」

そしてまたまたリヒデル王国

ムーン1「ごらんなさい。アイシャ姫の綺麗な事」

ミハイル「えっ?なに?なんだって?」

重病人レベルでボコボコにされて着替えさせられたミハイルとは対照的に、絵にかいたような美人に育ったアイシャ姫は純白のウェディングドレスに身を包んでいる。

そしてその隣には逞しい新郎が微笑んでいる。

「失礼します。国王陛下がぜひ殿下に祝辞をたまわりたいと。」

ミハイル「あっそう。分かった。」

「失礼いたします。」

ミハイル「赤ん坊のころ受けたのを陛下も覚えていられたと見える。新郎はいったい何者なんだ?」

ムーン1「警備隊の将校だそうです。」

ミハイル「なるほど、どうりでがっしりとした体つきだと思った。」

ムーン1「それより大丈夫ですか?ちゃんとあいさつできますか?」

ミハイル「まかしとけ」

このとき、ミハイルは昔受けまくった実績があると自信にあふれていた。

ムーン1「本当に大丈夫かなぁ…」
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