ー日常ー街の住人達【7】

ー東京広尾:ビストロ温泉ー

転太「おちつけ!この異変の原因に心当たりは!」

マリア「まったくありません!」

お熊「嘘おっしゃい!きっとあなたがかけ間違えた電話よ!」

転太「おマリーっ!またかーっ!」

マリア「わちゃ~、えーとメモリー確認!あっ、やっぱり銀鯉と一番ちがいにかけてる。」

お熊「ほらーっ!」

マリア「責任もって元凶とかけあいますっ!」

電話のリダイヤルボタンを押して間違い相手にコールするとあっさりと電話に出た。

『もしもし』

マリア「もしもし!そちらはどちらです?」

『はあっ?すみませんよく聞き取れないんですが』

マリア「貴様が何者かたずねとるんじゃっ!!」

『乱暴な客だなぁ。言わずと知れた怪奇宅配店です。』

マリア「怪奇宅配店!」

「「怪奇宅配店!?」」

マリア「とはなんです!」

『ご注文があれば妖怪でも怪奇現象でも何でも宅配する専門店ですよ』

マリア「またやっかいな商売を思いついたなぁ」

『ああ、その声は先日手紙を注文なさった方ですね。』

マリア「しとらん!」

『いーえ確かに注文を受けました。』

マリア「私が頼んだのは毛ガニのおそばに細魚丼だ!」

『言ってるじゃありませんか手紙を側に便りをどんどん』

毛ガニおそばに=手紙を側に
細魚丼(さよりどん)=便りをどんどん

マリア「なんちゅー強引な聞き間違いだ!貴様どういう耳をしとるんじゃい!!」

『こーゆー耳』

受話器から巨大な耳がボンッと現れた。

マリア「……耳垢がいっぱいつまってるー!!」

お熊「おマリちゃん!驚くポイントはそこじゃないわよ!!」

マリア「いいえここです!こいつ最近電話で受ける注文にミスが多いからFAXを送れといったんです!こんな耳垢の詰まった耳だから聞き間違いをするんです!間違えたのはそっちのせいだから注文はキャンセル!手紙をきれいに消してもらおう!!」

『そうはいかんっ!!』

今度は耳だけでなく一つ目で全身が鱗に覆われた人型の化け物がバオーンっと現れる。

マリア「なっにぃっ!」

『キャンセルはできんのだ。なぜなら注文を受けた品を必要以上にバンバン送りつけ、あとで法外な金額を請求するのがうちのやり方だからだ!』

転太「悪質な!破っ!!」

破魔の力で化け物を祓おうとしたが簡単に弾かれてしまう。

『フォッフォッこう見えても半神の仲間じゃ。人間風情相手にならんわ。』

転太「くっくそっ!」

というやりとりを傍から冷静に見ていたマリアは考えた。

上半身が受話器から出てるということはあとの下半身はどこかにあるお店に隠されているわけか、そして両者が電話線で名がってるとすると……。

ハサミを持ちだして電話線をプツンと切った。

『ギエーーーッ?!!』

怪物は悲鳴をあげると爆発四散した。

マリア「さすがの半神も身体を二つにちょん切られてはひとたまりもありませんでしたね。実力はあるがアホな奴で助かりました。ハッハッハッ!」

「「アホはしょうこりもなく間違い電話をかけさらすおのれじゃ!!」」

マリア「きゃー!ごめんなさーーい!!」
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