ー日常ー街の住人達【7】

ー東京広尾:ビストロ温泉ー

乙女(?)のカンが当たったのかその夜、山坂は現れなかった。

そして翌日の早朝、なんとも寝苦しくあきらめて早起きしたおマリが外に出てみると、ポストからあふれ出るほどの手紙が投かんされていました。さらに、大きな袋までおかれていた。

マリア「お熊さん!今日はもう手紙が届いてます!おまけにポストの下になにやら荷物まで!」

お熊「なんですって?」

マリア「これです」

サンタクロースが持っていそうな大きさの袋だった。

お熊「手紙だけじゃ飽き足らずに小荷物まで」

マリア「かなり重いですよ。小荷物じゃなくて大荷物です。」

お熊「中身は何かしら。開けるわよ。」

閉じているひもを解くお熊だが、マリアは突然止めに入った。

マリア「待ってくださいもしも爆発物だったら!」

お熊「もう開けちゃったわよ!」

開けた袋の中からはズボッとひとの手が出て来た。中身は人間の…

「「ひっ!?」」

転太「ありゃっ?これはどうしたことじゃ」

なんとバラバラの死体と思った手はちゃんとつながっていたどころか袋の中からは山坂転太が出てきたのだった。

お熊「それはこっちが聞きたいです!!」


~~


とりあえず店の中へと入って転太の話を聞くことにした。

転太「郵便局へ向かおうと事務所を出たまでは覚えているがそれ以降は一切記憶がない。」

マリア「この手紙事件に関して私たちだけでなく山坂さんの行動までコントロールされたとなると……」

転太「相手は並みの妖怪などではなく恐るべき実力の持ち主。わしの予想を裏切って、これはコテコテの怪奇現象であり……ということはすなわち」

マリア「ということはすなわち?」

転太「ここにいると危険じゃ!!」

「「きゃーーー!!」」

三人は一目散に外へと逃げようとするが出入り口に立っても自動ドアが開こうとしない。

転太「うん!?自動ドアが開かん!?」

お熊「窓から!!」

飛び出して外へと脱出しようカーテンを開けたが窓には無数の手紙が張り付いていた。

マリア「うっ、家中が手紙で覆い尽くされています!!」

お熊「さっきまで外はなんともなかったのに、いつの間に!」

マリア「山坂さん霊能力でなんとかできませんか!」

転太はカッと目を見開いて能力を使ったようだが……。

転太「信じられん!わしの能力が届く50m先まで固体反応が!!」

お熊「百万通どころじゃないわ!倍々だったはずが突然何億通も届けられたのよ!このまま外に出られなかったらいずれ飢え死にだわ!」

マリア「その前に家が押し潰されるかも!」
60/100ページ
スキ