ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

流れ星はそのまま地上へと落下してひと際おおきな光を放った。

ムーン1「流れ星が宮殿の近くに落ちた!」

ミハイル「えっ!?揺れるぞつかまれ!」

「「「ワーーーッ!」」」

来るはずの衝撃に備えてテーブルの下や、壁の側にしゃがみ込んだりしたのだが一向になにも起こらない。

チコ「……揺れない?」

ミハイル「流れ星が落ちたのなら絶対地震が起こるはずなのに……なぜだ。見に行こう!」

チコ「ちょっと待ってください!」

外へと駆けだしていくミハイルの後を追う。

~~

背丈の高い草木が視界を覆う。

『えらい深いジャングルだな。』

ミハイル「このあたりじゃないか?」

『むっ!生命体が近づいてきた!よしっ!』

ジャングルから飛び出して襲い掛かろうとしたが、目の前にあるのは巨大な靴と足……。

ムーン1「ん?なんだこいつ」

『なななななんだこの巨大な生物は!』

二足歩行する成体の草ガメサイズの何かがこっちを見上げて驚いている。

チコ「流れ星に乗ってやってきたのかもしれませんね。」

ミハイル「こんやくホンにゃくーー♪」

チコ「は?」

ミハイル「イヤホン型の万能翻訳機だ。あーあー、お前は何者だ」

『~~!!』

ミハイルは小さな亀の怪獣みたいなものとコンタクトを取り始めた。

ミハイル「えっ宇宙怪獣ボツリヌス?はあ?なんだって?」

チコ「どうしました?」

ミハイル「わけのわからないことをいっている。自称、銀河を恐怖のどん底に叩きこんだ最強の巨大怪獣だそうだ。」

「「「ええっ?」」」

チコ「巨大怪獣!?」

ムーン1「このチンケなのが?」

ボツリヌス『本当だ!銀河の歴史を調べてくれ!オレ様はまちがいなく最強の宇宙怪獣なのだ。自分でいうんだから間違いない!』

ミハイル「勝手な言い分だな。しかしなんとなくわかってきたぞ」

チコ「なにがです?」

ミハイル「恐らくコイツは今までずっと銀河の片隅で活動してきたんだろう。」

チコ「はぁ」

ミハイル「たぶんその片隅というのはものすごく小さな生物。身長が数ミリの小さな宇宙人たちがたくさん住んでいる地方だったのではないか」

チコ「なぜそんな地方が?」

ミハイル「そのあたりの宇宙の特性によるものか重力の関係かそれは分からんが、とにかくコイツはずーっとアリンコみたいな大きさの宇宙人が住む地方、いわば銀河の片田舎で活動していたのだ。アリンコから見ればこんなサイズでも巨大だろう。だから自分が恐ろしい存在だと勘違いしたのだ。分かったか、田舎怪獣」

ボツリヌス『誰が田舎怪獣だっ!』
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