ー日常ー街の住人達【7】

ー東京広尾:ビストロ温泉ー

お熊「おマリちゃんよく見て!煙に反応してるお客は居ない!?」

マリア「えーと」

全体的に煙の臭いにざわざわとしてはいる。目を凝らして一番反応をしているモノを探すと……。

「ゴホゴホ、ゴホン、ゴホン!」

マリア「あそこにひとりだけ咳をしているお客さんが。」

お熊「あいつか!」

猛進する巨獣の如く、お熊が飛びかかって咳をしているモノを掴みあげた。

マリア『なんですかわたしですよ』

なんと掴みあげている相手はマリアだった。

お熊「えっ!?ちょっと!いま隣で咳をしていた人はどこへいったの!」

「さあ」

マリア「お熊さん、なにしてるなんです!」

後ろから飛んできた声に振り返るとおマリは最初にいたところから動いていない。ということは今自分が掴んでいるのは……。

慌てて掴んでいるはずのマリアに目を向ける。

お熊『……』

お熊「まあ、いつの間にこんなところに鏡が……って、誤魔化されるか!」

お熊『!?』

そういって自分に化けたナニカを殴りつけた。
すると、変化を解いてまたもお客の中に紛れ込んだ。

お熊「おマリちゃん気をつけて!こいつ変幻自在よ!」

マリア「なんですって!」

お熊「そうかわかったわ!常にその場にいて不自然でない人間に姿を変えるから誰の印象にも残らないのよ!同時に同じ場所にさえいなければたとえおマリちゃんが二人いても怪しまれない!モニターを見ても分からなかったはずだわ!」

騒ぎが大きくなって客たちも立ち上がったりして更に妖しの存在が紛れ込んでしまう。

マリア「また姿を変えましたね!トネリコをいきます!」

バタバタと仰いで煙の量をふやしていく。

「「「……」」」
『……ごほっごほっ!!』

お熊「お前か!」

『!!』

妖しのものはお熊の脇を抜けて逃げ出そうとした。

マリア「待てっ!これでもくらえ!」

ボンッと音がして逃げ出そうとした妖しのものに網がかぶさり捕獲した。

『うーっ!』

じたばたと暴れるがもがけばもがくほど網は絡まっていく。

お熊「ナイスおマリちゃん!だけどネットガンなんかどこから」

マリア「ですからCIAのひとが」

お熊「いろいろ置いていったのね」

マリア「ええ他にも短針銃やら小型クレーンやら」

そう話しているとネットの隙間から糸状のものがニュルニュルと出てひとつの塊になると人型になって逃げだした。
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