ー日常ー街の住人達【7】

ー東京広尾:ビストロ温泉ー

「おい、ビール一杯ずつと枝豆にサンマ…」

お熊「うるさい!気が散る!!」

抗議しようとお熊さん相手に突っかかったが、怒鳴り返されて反射的に頭を下げた。

「すみません……って、どうしてこっちが謝らなきゃいけないんだー!」

お熊「やかましい!お勘定はいらないから帰れ!」

「アーン、タダにしてもらって嬉しいような怒鳴られて腹が立つようなー!」

っと、複雑な感情で客は去っていった。

お熊「おマリちゃん!どう!?」

マリア「……」

マリアは皿を二枚顔の前に掲げている。

お熊「は?」

マリア「目を皿のようにして見張っていましたが怪しい人は見つかりませんでした。」

お熊「余裕があるわね」

マリア「そういうわけでは」

お熊「でも、あたしもご同様、怪しい人物は発見できなかったわ。こうなったらターゲットを特定するために監視カメラを設置する必要があるわね。知り合いに頼んでみるわ。」

マリア「警備会社か何かにお知り合いが?」

お熊「いいえもっとずっと専門的なプロ集団。日本CIAよ」

マリア「大事になってきたなぁ」

その日の仕事が終わった後、お熊の知り合いによって監視カメラが設置された。

お熊「これで安心ね」

マリア「さすがはCIA。仕事も迅速、しかもどこにカメラがあるのかまるでわかりませんね。」

お熊「当然よ。各国の情報機関の裏をかいてその国の要人を見張るために開発された特殊カメラですもの。目の前で見せられても監視カメラとは気づかないわ。」

マリア「エスピオナージ(※)ですねぇ」

※:スパイ。スパイ活動。スパイ組織のこと。

その日の夜

マリア「32万の伝票が!」

「なんだってー!」

お熊「お代はいいから帰って!」

もはや定番になりつつあるやり取りを終え。夜を徹してモニターをチェックしたのですが。

マリア「うーん?」

お熊「だめだわ。誰が怪しいのか見当もつかない。」

そしてまた次の日も

マリア「64万円!」

「うーん!」
ドタッ!

マリア「お客さん失神しちゃいましたよ。」

お熊「塩辛とお銚子一本で64万と言われたら当たり前よ。」

「ぶくぶく…。」

そして結局犯人は見つからず被害額も増えてしまう一方でした。

お熊「もうがまんできないわ!すでに二百から飲み食いされて一円も回収できてないのよ!このままじゃお店が潰れちゃう!」
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